6月15日にスタートした「LINEショッピング」は、順調な滑り出しを見せており、新たに参入したいという企業からの問い合わせも多いという。一方、LINEショッピングはこれまでのショッピングモールサービスとはかなり方向性が違うサービスだ。今回、LINEでコマース事業とO2O戦略を担当する藤井英雄執行役員に話を伺う機会を得た。同氏の話をもとに3回に分けてLINEショッピングの特性に迫る。

カートも決済もないショッピングサービス

LINEショッピングは、LINEアプリ内から直接アクセスできるショッピングポータルだ。スポーツ・インテリア・家電・コスメなど、30ジャンル以上・150を超える企業/ブランドへのリンクが用意され、LINE内部で商品名に対する検索が可能なほか、ジャンルや店名での絞り込みもできる。ユーザーがLINEショッピングを通じてアクセスした先のブランドで買い物をすると、購入金額の最大20%をLINE ポイントとして受け取れる。このポイントは1ポイントを1円としてLINE Payや、スタンプ購入のためのLINEコインなどに交換できる。

多数の企業やブランドへのリンクが用意されたLINEショッピング

LINEショッピングのトップ画面。一見ライバルに見えるAmazon.co.jpやYahoo!ショッピングへのリンクがトップに表示されるのは理由がある

ただし、LINEショッピングではLINEが提供するのはポータルのみであり、買いたい品物を登録するショッピングカートも、決済機能も提供しない。商品の購入等は各ブランドのウェブサイトにジャンプして行うため、ブランドは自社サイトの中で、ブランドごとの世界観や体験を顧客に提供することができる。また、各ブランド内で独自のポイントカードなども展開しやすい。

これではカバーできる店舗数や品物に限界がありそうだが、LINEショッピングがユニークなのは、ライバルであるはずのYahoo!ショッピングや楽天市場へのリンクも用意されていることだ。LINE自身が「LINEに掲載をするより、LINEショッピングに登録済みのショッピングオールサービスを経由したほうが掲載が早い」というほどで、LINEは直接リンクする店舗や品物の数を誇ることにはあまりこだわっていない。では一体、何を目的としたサービスなのだろうか?