Apple Pay Cashが米国外ですぐに展開していけるかどうかは、まだ分からない。実際、Apple Pay Cashの導入が2017年秋からアナウンスされているのは、今のところ米国内のみだ。
Apple Pay導入2カ国目となったイギリスや、絶対に導入させたいと考えているであろう巨大市場・中国も、WWDC 2017のプレゼンテーションのスライドにはなかった。
日本における個人間決済については2010年4月に施行された「資金決済法」による「資金移動業者」として登録することで、個人間送金のサービスが実現可能となる。
ただし、100万円以下の取引に限られること、そして10万円以上の取引には、送金時、着金時の本人確認が必要となる。この本人確認とは、氏名・住居・生年月日が記載された身分証明書の提示、あるいはコピーを送付の上その住居宛の転送不要郵便物や本人限定郵便を送付する方法をとらなければならない。
マネーロンダリングや不正利用等の防止を目的としているとは言え、この方法をAppleが採用してまでApple Pay Cashを日本に導入できるのかどうか、微妙なところだ。例えば日本のPaymoやKyashのように、受け取る相手や使える場所を限定することで、資金決済法の資金移動業者に登録せずサービスを展開するという方法もあるにはあるのだが。
現状では、クリアしなければならない課題が幾つも存在するが、もし、日本国内でも利用可能となれば、Appleは、Apple Pay利用可能店舗やApp Storeなどで使えるる分、他の業者よりも有利な存在になると考えられるだろう。