「ETCや防災無線などの『公共』、交通やエネルギー、通信などの『社会』、物流や流通などの『法人』という3つの領域で、新規需要を捉えた事業拡大を目指す。また、2020年の東京オリンピック/パラリンピックに関連する需要を確実に刈り取っていく。パナソニック全体では、東京オリンピック/パラリンピック関連で、1500億円の売上高を見込んでいるが、そのうち約500億円をパナソニック システムソリューションズ ジャパンが担当する。

進捗はかなり順調であり、スタジアム関連ソリューションだけでなく、テロ対策などの安心・安全領域、キャッシュレスといったインバンド対応の整備などの需要もある。2018年度の刈り取りは100億円程度であるが、2019年度にはさらなる上積みが見込める」(片倉氏)

コネクティッドソリューションズ 社長の樋口 泰行氏は、「今後は、コンサルティング、サービス、コアデバイスのインデクレーションによるレイヤーアップによって収益向上を目指す。ハードウェアの継続的な差別化による収益確保、ソリューションレイヤーアップ・サービス体制の強化、顧客密着と新しい技術導入による次の柱の創出という3つの観点から取り組む」とするが、その実行部隊は、まさにパナソニック システムソリューションズ ジャパンということになる。

片倉氏もまた、「当社に占めるパナソニック製品による売上構成比は3分の1。残りの3分の2はソリューションが占める。かつては、事業部を中心にしてBtoBソリューションの提案を、それぞれの体制のなかで行っていたが、旧来のモノづくりを中心にした提案は難しくなってきた。1社でなんでも揃えるのではなく、様々な会社の製品を組み合わせながら、ソリューションで利益をあげることになる。それを担うのがパナソニック システムソリューションズ ジャパン。日本で成功した事例を欧米にも展開しており、それらの市場に向けても、パナソニック システムソリューションズ ジャパンでの経験が生かされている」とする。

ここで重要になるのが、IT業界での経験が長い樋口氏。コネクティッドソリューションズの社長に樋口氏が就任したことで、「これまで以上に、言葉が通じやすく、顧客との距離感や顧客に対する価値観が同じであることは、パナソニック システムソリューションズ ジャパンにとってプラスになる」と片倉氏は語る。

パナソニック全体の収益性向上は、コネクティッドソリューションズ社がリードすることになる。そして、そのなかで牽引役となるのがパナソニック システムソリューションズ ジャパンだ。家電メーカーであり、デバイスメーカーの側面が強いパナソニックだが、BtoB向けソリューションビジネスこそが、パナソニックの成長を支える柱のひとつだといえる。