共用スペースをチェックしてみよう。ビル最上階の9Fすべてが共用スペースになっており、ここを宿泊者が利用できる。フロアには数脚のソファが設置され、ユーザーがくつろげるようになっている。窓側にはダイニングテーブルが置かれ、食事を摂ることが可能。その横にはIHコンロ式のキッチンや電子レンジ、冷蔵庫、コーヒーメーカーを用意、調理をすることもOKだ。
山崎氏は「15~16時くらいにチェックインしてもらい、この共用スペースでゆっくり過ごしてもらいたい。そして寝る時間になったら各室で休んでもらうというのがコンセプト」と話す。一般的なカプセルホテルの場合、チェックインまでは外出しているのが普通。そしてチェックインしたら、真っ先に寝てしまうというユーザーが多いだろう。ところが、同ホテルでは、共用スペースでゆったり時間を過ごせ、ほかの宿泊客とのコミュニケーションも可能だ。
ホテルとコワーキングスペースのコラボ
と、ここまでは共用スペースが広い単なるホテルということになる。特徴的なのは、この共用スペースに“シーズ”段階のベンチャーに最適な「コワーキングスペース」が併設されていることだ。周囲を気にせず通話ができる個室があったり、契約者に届いた郵便物を受け取るポストがあったりと、オフィスとして活用できる。
山崎氏は「ホテルのロビーで仕事をしている人をよく見かけるが、実はこうした光景がホテルのイメージを損ねることはない」と、オフィスデスクを共用スペースに設置したきっかけを語る。
また、「コワーキングスペース併設のホテルは世界初ではないか。ホテルとオフィス機能のハイブリッドによる価値を創造したい」(山崎氏)とした。
たとえばその価値とは、「ワーク→昼寝→ワーク→休憩→ワーク→ビール」といったスタイルだ。「なぜ最後にビール!?」と思ったが、実はこの共用スペースには、特定の時間に無料で利用できるビールサーバーが設置されている。筆者も“ザ・ミレニアルズ取材”というひと仕事を終え、この無料ビールをグィッとあおったことは、いうまでもない。