資産形成とは、より良い人生を送るために資産を作っていくことです。より良い人生を生きるためには、自分の生き方と向き合わなければなりません。
生き方とは何か。それは、自分の価値観に基づいた人生設計(=ライフプラン)です。言い換えると、「自分の人生をどう生き、どうお金を稼ぎ、どう使っていくか」を考えることなのです。
お金を貯める前に目的を考える
人は皆、幸せになりたいと考えます。満足感や幸福を感じる対象はもちろん人によって異なります。どのような状態になれば幸せか、あるいは何に、どんなことに幸福を感じるのかを考えることが大切なのです。
『幸福論』で有名な19世紀フランスの哲学者、アラン(Alain)ことエミール=オーギュスト・シャルティエはこう言っています。
「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」
そしてこう続けています。
「(~略~)気分というものはいつでも悪いものであり、あらゆる幸福は意思と抑制とによるものである」
感情に身を任せていると、つらいことや悲しいことが起こったときに悲観に陥りやすい。より良く幸福な人生を送るためには、意思と抑制によって幸せをつかもうとする、強い目的を持った生き方が必要になる、と解釈できるのではないでしょうか。
キャリアアップを目指して自己研鑽するのも、目的があってこそですよね。多くの財産を持ったり、地位や名声を手に入れたりしたいと思うかもしれません。でもどちらかというと、これらは自己実現をした結果得られるものです。それに、人生をより豊かにするのは、代替の効く消費財などではなく、余暇生活の充実や愛情、自身や家族の健康、仕事を通じた社会への帰属や貢献しているという実感などではないでしょうか。
お金を稼ぐのも大事ですが、それをどう使うかということも大事なのですね。お金だけでなく、時間も有限ですから、その限られたリソースをどう配分していくかが幸福にダイレクトにつながっていくのです。
ですからまずお金を貯める前に、その目的をしっかりと考えてほしいと思います。欲しいものが分からなければ手に入れる可能性は低いでしょうから、目的を持つことは大切です。
そうすればお金を大事にしますし、目的を持った強い意志があれば自然と必要なもの・必要なことに多くを使うようになります。お金を貯めることと使うことは同じぐらい大事ということがわかります。