同社は獣医師やトレーナーなどの動物の専門家による記事や、飼い主のリアルな体験記事を配信するメディア運営、“厳選したペットフード”をECで飼い主に提供するというのがおもなビジネスモデルだ。だが、単にECによるペットフード販売というだけではない。

その表れともいえるのが、「ペットの体重カレンダー~Fanimalアプリ」の提供だ。ペットの体重管理は忘れがちになるが、アプリをスマホにインストールしていれば意識しやすくなる。さらに、ペットの体型を5段階で数値化したBCS(ボディコンディションスコア)も記録することで、ペットの状態を確認できる。また、散歩した距離なども計測できるなど、ペットの健康への意識を高める工夫が盛り込まれている。つまり、わかりにくいペットの健康を“可視化”するというワケだ。

ペットの体重カレンダー~Fanimalアプリでは、散歩距離やBCSを記録できる。提携するMAMORIOのクラウドトラッキングプラットフォームを利用すれば、迷子時の捜索も可能だ

ファニマル 代表取締役 漆原秀一氏

「散歩の距離が計測できることは、ペットだけではなく飼い主の健康にも役立つと思います」と、ファニマル 代表取締役 漆原秀一氏は話す。また、ペットといることで心が安らぎ、心的ストレスによる飼い主の健康不安からも遠ざけられるともいう。

ペットの健康を調査・研究するシンクタンク設立

このほか、「Fanimal総研」を運営していることも特徴だ。これは、ペットの健康にまつわる調査・研究機関として、ファニマルが設立したもの。ペットの健康を前面に押し出しているが、飼い主のライフスタイルにもスポットライトを当てているのが興味深い。

たとえば「犬を飼いはじめてから、生活リズムにどのような変化がありましたか?」といった設問を用意し、飼い主に答えてもらう。この設問では「早寝早起きになった」と答えた飼い主が多く、「あてはまる」25%、「ややあてはまる」34.3%という結果になった。さらに、「スマホでゲームやSNSを利用する時間が減った」「犬を飼い始めてから、自炊の頻度が増えた」という傾向がみられた。ファニマルによると、散歩やペットとふれあう時間を増やすこと、外食ではなくペットと一緒にご飯を食べたいという意識の表れだという。 このほかにも「犬を通して新しい友達ができた」「初対面の人と気軽に話せるようになった」といった、飼い主のコミュニケーションについても調査している。つまり、単にペットの健康だけではなく、飼い主も含めたライフスタイル全体の調査機関として、機能しているといってよい。

谷田会長は、「Fanimalは、『Animal』に『Family』『Fun』『Food』『Fitness』といった単語の『F』を掛け合わせたものです」と話す。これらのキーワードをみると、単にペットの健康を推進するのではなく、飼い主も含めた“身体の健康”、そして“心の健康”をサポートするのがねらいだということが伝わってくる。