変わること、変わらないこと
今回のミーティングでは、日本のMozillaコミュニティとして、今後どのように情報の発信を行っていくか、組織名変更で変わること、変わらないことについての確認も行われた。
まず、大きく変わることであるが、WebDINO Japanは、Mozilla Corporationとは、完全に別の組織となり、Firefoxの配布元という立場ではなくなる。その結果、たとえばこれまでMozilla Japanが提供してきたリリースノートの日本語版などは、WebDINO Japanとしては提供することはできなくなる。ちなみに、他国でリリースノートをローカライズしているというケースはほとんど見られないようだ。またこれまでMozilla Japanの公式サイトとして機能してきたmozilla.jpというドメインは、日本のMozillaコミュニティとしての利用は認められ、7月以降は、日本のユーザー向けに有益な情報を集約するコミュニティ運営のポータルサイトになる予定だ。
ミーティングでは、mozilla.jpの管理を共有するためのプロセスなどについても議論が行われた。また、日本で作成されたマスコットキャラクタ「フォクすけ」の利用について質問が出たが、Mozilla Japanで管理していた商標などの知財は、フォクすけを含めすでにMozilla Corporationに移管されているが、フォクすけに関してはCreative Commonsライセンスであるため、CC-BY-NCの範囲内での利用にあたっては、特に問題はないであろうとの見解であった。
WebDINO Japanの目指すもの
今後も、Firefoxのプロフェッショナルであることに変わりはないが、他のブラウザを含め、より広いレベルでWebを推進する活動をしていきたい。これまでもWebをより良くするというミッションのためにFirefoxというプロダクトを通じてそれを伝えてきたが、FirefoxブランドではないオープンソースのGeckoを使った仕事はもちろん、場合によっては、他のレンダリングエンジンを使った仕事に関わっていくこともあるだろう。
会の最後に、瀧田佐登子氏は、以下のように語った。
Firefoxをはじめとした、Mozillaのプロダクトとは 20年以上の付き合いがあり、ネットスケープのオープンソース化など、思い入れもある。しかし、そのことにとらわれすぎていても世の中は良くならない。すでに技術が出揃ってきていて、本格的に使うフェーズともいえる今のWebにとって何が必要なのか。Mozillaが持っている資産は山のようにある。それを使える土壌を作っていく必要があるとも思っている。Mozilla Japan設立の2004年以来、Webがプラットフォームになる時代が来るとずっと言い続けてきた。必ずしも、Firefoxがプラットフォームになるという意味ではないが、IoTの普及が迫るなか、それが実現できる形が見えてきた。デバイスも小さくなり、その対応はどうすべきか、そんなことの検討もオープンにやっていきたいと考えている。こうした活動でこの市場が拡大し、ひいては Mozilla自体のプロダクト作りにもヒントを与えられる存在になれたら嬉しい。
最後に、この日、発表されたWebDINO Japanの新ロゴを紹介しよう。
ミーティングの折に発表され、参加者にステッカーが配布された。WebDINO Japanおよび日本のMozillaコミュニティの今後の活動については、情報があればまた紹介したい。