制限時間4時間半、父島観光スタート
出港まで4時間半。15時には船客待合所に戻り乗船手続きをしたいので、実質4時間弱の滞在時間となる。下船したらまずは船客待合所内の観光案内所へ向かい、島内地図を入手しよう。余計な手荷物は500円で預かってもらえる。
まずはともあれ、おいしいご飯はしっかり食べたい。港は飲食店が集まる町の中にあるので、お店を探すには困らない。せっかくなら、島ならではの料理を味わいたい。筆者オススメの店は以下の通り。
「島寿司」
「小笠原ならでは」を求めるならココ。小笠原は日本でも珍しいアオウミガメを食べる地域だ。「しまかめ」(1,300円)はサワラなどの島魚と、アオウミガメの握りがセットになっている。赤身で馬刺しに似た感じであり、意外に食べやすい。
「ハートロックカフェ」
島時間を感じるならココ。船客待合所からすぐのカフェで、アオウミガメの肉を煮込んだ「亀煮丼」(1,200円)や、島内で収穫された「小笠原コーヒー」(1,000円)など島らしいメニューが味わえる。ガジュマルが茂るウッドデッキのテラスが南国気分満点。
「ブォーノホライズン」
眺めならココ。父島には眺望がいい店はあまりないのだが、ココは別格だ。二見湾に面した建物の2階にあり、青く澄んだ二見湾を一望できる。ランチタイムは島魚や季節の島野菜を使ったパスタなどが味わえる。
滞在時間が限られているので、生協やその周辺でお弁当を買って、すぐに移動するのもアリだろう。集落を離れると自販機や商店はほとんどないので、街中で飲料水や軽食は必ず買っておきたい。
島をぐるっとライド
今度は過ごし方である。島内一周は約17km。ゆっくり歩くというのもありだろうが、限られた時間だ。バイクを借りよう。バイクは「小笠原観光」か「パパヤ」でレンタルできる。「小笠原観光」は50ccバイク3時間で1,600円(webに割引チケットあり)で事前予約可能。「パパヤ」は6時間1,500円と割安だが、事前予約は不可だ。
出発は地図上の2。ローカル生活圏の4(奥村)を左折して時計回りに走るのがオススメだ。絶景を望む展望スポットは、17の長崎展望台と16の旭平。深く青い兄島瀬戸を一望できる。駐車場からすぐなので、ぜひ立ち寄っておきたい。途中、国立天文台の直径20mの電波望遠鏡が見える。14の初寝浦入り口ではトイレ休憩可。そこから初寝浦展望台に向かう小道には、軍用施設跡が今なお残されている。
亜熱帯の植物が茂る道を抜けると、6の穏やかな白浜の扇浦海岸に到着する。7方面左手の商店「ビーチコマ」では、パンや飲料、スナックなどを調達できる。街以外では貴重な商店だ。朽ちた座礁船が残る5の境浦海岸を望みながら、街へと戻ろう。なお、舗装された道だが、普段バイクに乗り慣れていないなど、安全面で不安がある人は避けた方が無難だ。
やっぱり海にダイブしたい!
その一方で、港周辺の海もあなどれない。「小笠原観光」でスノーケルセットを借りて、ラムネカラーの海で一泳ぎしよう。大村海岸は、大神山公園内にある真っ白なサンゴダストと海のコントラストが美しい絶景ビーチ。更衣室とシャワー、休憩舎もあるのがうれしい。
港の小さな灯台「青灯台」に、地元の子供たちが集まるスポットがある。防波堤から数メートル下の海面に飛び込んで遊んでいるのだ。童心に返って、一緒に飛び込んでみてはいかがだろう。けっこう高さがあるので、思いの他、怖いかもしれない。筆者は2年在住したにも関わらず、結局、飛び込む勇気が出なかった……。
スノーケルなら、レンタサイクルで街から15分ほどで着く「製氷海岸」がオススメだ。街からはずっと平坦な道で、海岸近くに自販機が1台あるのもうれしい。製氷海岸は枝サンゴの群生地で、真っ白なサンゴと魚が織りなす幻想的な世界が広がっている。時間が許せば、アオウミガメを保護・研究している「小笠原海洋センター」にも立ち寄りたい。
シャワーを浴びられないのが難点だが、濡れた身体はすぐに乾く。シャワーは乗船後と割り切って泳ごう。
土産購入もスピード勝負! いざまた船旅へ
時間のない弾丸旅行では、おみやげ選びに時間をかけたくない。日持ちするものは船内の売店で買えるので、行きにチェックしておこう。出港前には船客待合所にも売店がでる。どうしても小笠原らしい物を……という人は採れたての果物や野菜が並ぶ「JA小笠原」がオススメ。この時期ならパッションフルーツやマンゴーがおいしい。
15時には船客待合所に戻り、出港手続きをしよう。小笠原の旅のクライマックスを飾るのが盛大な見送り。威勢のいい見送り太鼓を聞きながら、再び「おがさわら丸」に乗船。島民の「いってらっしゃーい」の声を受けて、船は出港する。同時に漁船や観光船も並走し、飛び込みのパフォーマンスを見せてくれる人もいる。
旅の時間はまだ丸一日残っている。父島を出てほどなく携帯は圏外になる。再び東京湾に入るまで、思う存分小笠原タイムを満喫しよう。「おがさわら丸」往復運賃(2等寝台)で5万7,060円(往復)、レンタルバイクorサイクルは各1,600円(3時間)なので、必要経費は合計5万8,660円となる。参考までに、「ナショナルランド」のツアーを利用すれば、運賃は割安になる。参考までに。
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