さて、2会場にわかれていたので、せわしなく移動しながら見学させていただいたが、合間に企業の担当者に話をうかがう機会があった。学生にも話しをうかがいたかったが、プレゼンの準備をしたり、緊張をほぐそうとしたりしている姿をみると、それは気が引けた。
コンテスト序盤にキリンHD CSV戦略担当 森田裕之氏に話をうかがえた。森田氏は「普段、高校生や大学生の方々に、キリングループのCSV活動について紹介することはありますが、学生からプレゼンを受ける機会はあまりありません。どんなCSVのアイデアが出てくるのか、非常に楽しみです」と期待を寄せた。
中盤にお目にかかった三井不動産レジデンシャル 市場開発部 唐澤豊成氏は、「弊社は3~5年で新商品を投入しますが、そのヒントになればと思い参加しました。すでに参考になりそうなアイデアにいくつか出会いました」と笑みをこぼした。
終盤では、資生堂 コーポレートコミュニケーション本部 臼井文氏に話しをうかがった。「学生のアイデアなので“どうかな”という気持ちがわずかにありましたが、どれも秀逸な提案で驚きました。今後の弊社の活動につなげたいものもありました」と、手応えを感じたようだ。
わずか2週間でプレゼンを準備
メンバーズ 執行役員 原裕氏にもお会いした。実はメンバーズが、今回のCSVコンテストの“仕掛け人”ともいえる存在。なぜ、CSVだったのかうかがうと、「学生たちはこれから社会に出てさまざまなシーンで活躍されるでしょう。なかでもマーケティングに関わる方は多いと思います。企業の課題や社会の課題を考えるCSVは、マーケティングに生かしやすく、その力を身につけていただくためにも今回の取り組みとなりました」と話す。
驚いたのは、学生たちにはわずか2週間しか与えられていなかったこと。わずかの期間で、提案対象の企業を選定し、“CSVとは何ぞや”を理解し、企業の課題を洗い出し、アイデアを出し合い、そしてプレゼンの準備をする。筆者が学生のときに、短期間でこれほどのことをできたかと問われると、とてもではないが自信はない。