トヨタ自動車が“セダン復権”の期待をかける新型「カムリ」を発売した。デザインから走りまで、全てを一新して世に問うトヨタ・ミッドサイズビークルカンパニー(Mid-size Vehicle Company)の主力車種だが、日米でセダンからSUVに需要がシフトするなか、カムリはトヨタが課した重い使命を果たすことができるのだろうか。
繰り返された「セダン復権」という言葉
カムリの前身である「セリカ カムリ」の誕生は1980年のこと。ミッドサイズビークルカンパニー・プレジデントの吉田守孝専務は新型カムリの発表会に登壇し、「ソアラ」「チェイサー」「セリカ」などの車種が生まれた1980年代を「クルマが注目された時代」と振り返った上で、新型カムリには「もう一度、ハンドルを握る歓びを」という思いを込めたと語った。
吉田専務は発表会で「セダン復権」という言葉を繰り返した。これは、日本や米国などで、クルマの需要がセダン系からSUVなどのライトトラック系にシフトしていることを意識した発言だ。セダン復権の使命を課す新型カムリには、デザインと走りの両面で全面的な刷新を施したという。カムリの開発責任者を務めたミッドサイズビークルカンパニー・チーフエンジニアの勝又正人氏は、今回のフルモデルチェンジを「前例のない変革」と表現した。
大変革を可能にしたのは、新型カムリが採り入れたトヨタの新しいプラットフォーム「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」の存在だ。トヨタはTNGAを2015年12月発売の「プリウス」から導入しているが、TNGAにもとづき、パワートレーンを含む全ての要素をゼロから作り上げたクルマはカムリが初めてだ。