さらに7月5日には、アルテリア・ネットワークスとアイホン、アッサアブロイジャパンの4社共同でマンション向けIoTソリューション「つたえるーむ」プロジェクトを発表。シャープはAIoTプラットフォームを提供しており、家電操作が可能となるコミュニケーションアプリ「ココロボ~ド」との連携によって、専有部と共有部双方の鍵管理が可能となる。
同サービスの販売を手がけるのはアルテリア・ネットワークスで、マンション向け光回線サービスでシェア1位の事業者だという。アイホンは、インターホンシステムの提供とサービス連携、アッサアブロイは共用部と専有部のドアロックシステムを担っており、すでに内定しているものを含めて2018年度までに50棟、約4700戸を販売する。また、3カ年では累積175棟、1万6000戸の目標を掲げている。
AIoTで今までなかったシャープとの接点を生む
ただし、4社が掲げた3年間の販売目標は、売上高が14億円と顔揃えの割には少額にとどまる。マンション導入時の各種施工費などは1部屋あたり15万円と「もともと施工にかかる費用とあまり差はない」という。サービスとしての提供になることから、月額利用料が380円、そのため総額でも14億円程度になるわけだ。
もちろん、この4社がまとまって販売することで、それぞれ独自のチャネルで思いもよらぬ商談につながる可能性はあるだろうが、そこまで旨味があるようには見えない。しかし、会見に登壇したシャープのIoT通信事業本部 IoTクラウド事業部長の白石 奈緒樹氏は、昨年のCEATECにおけるCOCORO+のコンセプトが結実した1つの姿だとして手応えを感じているとした。
他社にとって見れば、プレイヤーの一人としてシャープが参画しており、また全社的に展開するAIoTのプラットフォーム基盤を活用できることは、エンドユーザー視点で考えてもメリットは大きい。一方のシャープにとっても、これまでは家電製品を購入してもらえなければアプローチできなかったユーザーに対して接触する機会が得られる。
また白石氏によれば、Googleの「Google Home」やAppleの「Homekit」といったスマートホームプラットフォームとは「競合する関係ではない」という。むしろシャープの理想像は、さまざまなプレイヤーとの話し合いによって自分たちがインタフェースとして仲立ちし、その一部のプラットフォーム連携にこれらのサービス基盤を活用したい考えのようだ。
新築マンションの新規供給戸数は10万戸弱で推移しており、販売目標はそのうちのおよそ5%に過ぎない。ただ、シャープにしてみれば「シャープと接する機会」を増やすモデルケースであり、今後の異業種連携が増えていく可能性を十二分に示唆している。