さて、授業風景をレポートしよう。見学させていただいたのは、4年生の数学の授業だ。4年生とはいっても小学校ではなく、中高一貫の女子校であるため、一般的には「高一」と呼ばれる世代だ。
指導するのは学年主任の白石賢佑教諭で、授業の開始と同時に「iPadの授業用ノート2ページ目を開いてください」と指示すると、各自が指示されたページを開く。この際、先生のiPadには、MetaMojiの「ClassRoom」というアプリにより、各自のページを確認でき、勉強の進捗状況をチェックできる。仮に、紙のノートで同じことをするとなると、生徒たちからノートを集め、先生が当該カ所を調べる必要がある。下手をすれば、これだけで授業時間の大半を消費してしまう。
ただ、印象的だったのは、iPadを使うのは授業の一部分だけで、基本的には黒板に先生が図や式を書き、それを生徒たちが写し書くというスタイルを取っていたこと。「自らの手で書くことが勉強には大切」と白石先生は話す。とはいえ、デジタル機器の利便性も、授業に活用している。
デジタルデバイスはあくまで補助機器
たとえば、黒板に書いた図を「1分で書き取りなさい」と指示した際、どうしてもその時間内に書き取れない生徒も出てきてしまう。その場合、iPadのデジカメで撮影することを許すという。「黒板を撮影するのは、あくまで許可したときだけです。基本的にはノートにペンで書くということにしています」(白石先生)。これは、インタビューに同席してくださった中山遥子教諭も同意見で、許可したとき以外に写真撮影はさせないという。デジタルばかりではなく、アナログの勉強法を重要視した授業といえよう。