世界に負けないスマートウォッチを

発表会では、ソニー 新規事業創出部の對馬哲平氏が、これまでの経緯と今後の事業戦略を語った。wena wristは、ソニーの新規事業創出プログラムSAP(Seed Acceleration Program)から生まれた。生活を便利にする最先端のテクノロジーを自然に身に着ける「wear electronics naturally」というビジョンを掲げ、頭文字をとってwenaとした。

ソニー 新規事業創出部 wena事業室 統括課長の對馬哲平氏

先行するステンレスバンドでは、メタルバンド自体をアンテナにする独自のアンテナ技術を開発し、さらに部品を分散配置するといった特許を含めた数々の技術によって、製品化を実現した。一方、この日に発表されたwena wrist leatherで課題となったのは、18mmの細い革バンドにも組み込める超小型FeliCaモジュールの開発。對馬氏によれば、横幅がとれない分を縦長にすることで解決したそうだ。また、曲げた際に生じる通信特性の変化にも配慮している。

wena wrist leatherの開発にあたり、18mmの細い革バンドにも組み込めるような超小型のFeliCaモジュールを開発した

新製品がターゲットにしているのは、腕時計をファッションで楽しむユーザー層。wena事業室では、そこにスマートウォッチの未来も重ね合わせて考えている。プロモーションでは、「ヘッドとバンドの自由な組み合わせで、あなただけのwena wristを」「バンドを付け替えるだけで、あなたの腕時計がスマートウォッチに」といったキーワードで展開する。

新製品のターゲットは腕時計をファッションで楽しむ層。あなたの思い出の腕時計がスマートウォッチに、といったキーワードで訴求していく

異性からもらった思い出の時計、形見の古い時計、パートナーから記念日にもらった時計など、お気に入りの腕時計で利用できるのがwena wristの特長。そこでソニーでは、「おもいでの時計展」というイベントを8月25日~26日の2日間、代官山T-SITE(GARDEN GALLERY)で開催する。對馬氏は「まだ同じ土俵にも立てていないが、日本のスマートウォッチとして、Appleやサムスン電子にも負けない製品を開発していきたい」と意欲的に語った。

「おもいでの時計展」を8月25日~26日に代官山T-SITEで開催。この日の会場には、對馬氏の「初めてのボーナスで買った腕時計」など、スタッフゆかりの腕時計が展示されていた

なお、Suicaへの対応状況については、「対応したいと思っている。しかし相手先のある話なので、いま我々から詳細を申し上げることはできない」(對馬氏)と答えるにとどまった。楽天Edyを選んだ理由は、「はじめに、楽天さまに意欲を示していただいた。仕様上は、2つから3つほどの電子マネーを入れることができる。ただし、組み合わせの相性もある」と話していた。