たい焼き屋で焼きそばを

「浪花家総本店」は創業明治42(1909)年。威勢のいい店員さんに、今も残る下町の息吹を感じた。ここではもちろんたい焼きを購入したものの、「密かに絶品らしい」という噂の主・「焼きそば」(500円)も見逃せない!

「焼きそば」(500円)。シンプルでさっぱりとした味わい。お好みでソースをかけていただく

たい焼きは、欲しい匹数と自分の名前を伝えて店外で待つ。場合によっては数時間待つらしい。この日は「15分くらいかかる」とのことだったので、しばらく出かけて戻ってきてみたら、さわやかな笑顔で「おかえり! 」と言ってくれた。なんだか本当に帰ってきたような心持ちになった(混んでいる時は言ってくれないかもしれないので落胆しないように)。

薄皮でサクサクモチモチな「たい焼き」(180円)。いずれも店内で食べることもできる。店内はノスタルジックで薄暗く、そこだけ夕暮れ時のようだった。ちなみに冷房はない

information
浪花家総本店
東京都港区麻布十番1-8-14

こんぶ塩で食べるごちそうコロッケ

麻布十番商店街からほんの少し外れるが、味わってみたいコロッケがある。コロッケ屋「楽万コロッケ」の看板商品で、その名も「特上コロッケ」。サクッと揚げられたコロッケの中には、ポテトだけでなくお肉も豊富。どうりで味わい深い。店員さんは「ソースではなく、添付のこんぶ塩で食べてください! 」と力説していた。確かに、塩の方が素材自体の旨みが引き立つようだ。

「特上コロッケ」(260円)小窓付き袋が何となくお洒落

コロッケなのにお肉がたっぷり練り込んである

幕末好きにはたまらない諸々も

麻布十番にはいくつかの見どころもある。どうやら幕末に関係したものが多いらしい。

幕末を舞台としたドラマ「仁」のエンディングに登場する風景

米国の初代公使ハリス氏の宿館跡のある善福寺。ここには福沢諭吉氏の墓もある

坂道の小さな公園に置かれた「きみちゃん像」。野口雨情の童謡「赤い靴」のモデルとなった、悲劇の女の子きみちゃんの像だ(幕末ではなく明治時代のストーリー)

麻布十番は、隣り合わせの六本木とは大きく違い、緑豊かでのんびりとした街だった。お店の前にはベンチがあるところも多い。ゆっくりと食べ歩き散策をしてみてはいかがだろうか。

※価格は全て税込

筆者プロフィール: 木口 マリ

執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。