雨の日に使ってみる
実際に、雨で湿度70%近くになった13畳ほどのLDKに洗濯物を干し、その下に設置して衣類乾燥モードで運転したところ、周辺の湿度そのものの低下は3~5%程度でしたが、1時間ほどでシーツやバスタオルなどの洗濯物がざっくり乾いているのがわかりました。そのまま運転を続けていくと、3時間ほどでほぼ乾いたと言える状態になりました。
前述のとおり、この製品には風量や風向設定、ルーバーがありません。ですが、風が直接当たらない場所で周辺の湿気を取り除くだけでも、通常の同じような条件の日に比べ、2倍ほど速く乾かせることを実感。排水タンクにも1Lほどの水が溜まっており、短時間でこれだけの量の水分が取り除かれたことに驚愕しました。
次に、ビニールテープを吊るして風が届く範囲を確認してみました。すると、水平方向へはあまり広がっていませんでしたが、垂直方向へは勢いよく吹き出していることがわかりました。実際、本体の真上に吊るしたバスタオルは1時間足らずで完全に乾いていたので、速乾したい洗濯物があれば真上に干すのがよさそうです。
コンパクトで機能もシンプルでありながら、実用に十分な能力を持つタシューゴ アリアドライ マルチですが、排水タンクは2.2Lと小さめ。しかし、満杯になると自動停止する仕組みなので、うっかり水があふれてしまうといった心配はありません。また、付属の排水用ホースを取り付けることで連続排水も可能なので、長時間稼動させたい場合も問題ありません。
吸気口のパネルの裏側には銀イオン抗菌フィルターがあり、取り込んだ空気に含まれるホコリやゴミを取り除けます。さらに抗アレルゲンフィルターも取り付けられており、雑菌の繁殖も抑えてくれるなど衛生面への配慮も十分です。
一方、やはりあったほうがベターと感じるのはタイマー機能です。この製品の場合、運転の完全停止は手動のみ。夜間寝ている間に運転したいという人にとっては少々残念に思うところかもしれません。
とはいえ、除湿能力そのものが高く、1時間程度の稼動でも効果は十分。就寝前に1時間ほど稼動させて大方乾燥させた後、後は自然乾燥にまかせても、朝までには十分乾かせそう。干し始めの最も湿っている状態は、雑菌などが繁殖しやすいため、干し始めに絞って使うのもアリだと思います。
どんな人に向いている?
タシューゴ アリアドライ マルチの魅力は、何といってもコンパクトでデザインがよく、邪魔と感じにくいこと。狭い部屋や洗面所、浴室、玄関、クローゼットといった湿気のこもりやすい場所にスポット利用するのが向いていると感じます。
エアコンが設置されている部屋であれば、広範囲な除湿はエアコンのほうが効率が良いかもしれませんが、エアコン除湿の場合は空間全体が除湿されるため、寒く感じてしまうことがあります。そのため、衣類乾燥目的であればスポット的に除湿ができるほうが快適かつ高効率なので、タシューゴ アリアドライ マルチは最適といえるでしょう。
前述のとおり、コンプレッサー式の除湿機は消費電力も控えめ。この製品の1時間あたりの電気代は約5円とランニングコストとしてもそれほど気になりません。
また、タシューゴ アリアドライ マルチの推定市場価格は29,880円前後。衣類除湿乾燥機としては手ごろな価格帯、なおかつ小型なので、1人暮らしなどこれまで導入しにくかった層にも受け入れられやすい製品だと思います。