楽天はLIFULLと共同で子会社を設立し、日本国内における民泊事業に参入する。Airbnbなどが人気を集める一方で、観光地では違法民泊も問題になる中、このタイミングで楽天が民泊事業に参入するのはなぜだろうか。
日本最大級の民泊サービスを目指す
楽天とLIFULLは共同で「楽天LIFULL STAY株式会社」を設立した。これは、6月9日に成立した「住宅宿泊事業法」(いわゆる民泊新法)を受けて設立された民泊サービスの専業会社だ(厳密には楽天とLIFULLが51:49の出資比率で設立した「RAKUTEN LIFULL PTE LTD」の完全子会社)。
同社は観光庁長官に住宅宿泊仲介業者としての登録を受けた上で、民泊を貸したい人と借りたい人を結びつけるプラットフォームを提供する。具体的には「Vacation Stay」(仮称)というサイトを設立し、そこを通じて各種サービスを提供することになる。具体的なサービスの開始は民泊新法が施行される来年1月以降を予定している。
楽天の山田善久副社長執行役員によれば、現在日本各地では空き家の増加が社会問題化している。また同時に海外からの訪日外国人旅行客の増加により、宿泊施設不足が深刻化している。そこで空き家の有効利用手段として、民泊事業に脚光が当たるわけだ。
現状でもAirbnbなどの民泊サービスが訪日外国人を中心に人気を集めているが、法的にグレーゾーンな物件が多かったり、近隣住人との摩擦なども問題になっている。たとえば京都市は、2016年に同市を訪れた観光客のうち、およそ110万人が違法な民泊を利用しているという推計値を算出している。安全や衛生といった観点からも、違法民泊の撲滅は重要な課題なのだ。楽天LIFULL STAYは前述のように、住宅宿泊仲介業者として正規に登録される予定であり、発表会の席でも安全・安心を強調していた。当たり前のことではあるが、「合法・安全・安心」が楽天LIFULL STAYのサービスのキーワードということになるようだ。