ヤンゴン、マンダレー、ネピドーの3大都市を皮切りに、今年9月を目処に主要30都市にまで拡張する方針だという。岡部氏は「Facebookの人気が高く、トラフィックの使用量が多い。動画に関してはYouTubeなども閲覧されているが、まだ伸びしろがある。LTEを導入することで、もっと利用量が伸びる」と期待を込めた。
KDDIと住友商事による共同事業運営という事情から、MPTの経営状況やKDDIに与える収益へのインパクトについては非開示。なおミャンマーでは大手3キャリアが展開しており、その加入件数は最大手のMPTが約2,300万件、Telenorが約1,880万件、Ooredooが934万件となっている(2017年3月時点)。岡部氏は「最大のネットワークカバー率を維持しつつ、今後はスピードも増強し、サービスも用意してエンタメを楽しんでもらえるようにしていきたい」と言葉に力を込めた。
他国にも展開、利益もさらに伸ばしていける
この後、岡部氏らグローバル事業本部のスタッフが記者団の質問に回答していった。
3G回線の人口カバー率は96%まで拡大した。LTE回線は、どの程度まで拡大する予定なのだろうか。これについて岡部氏は「通信サービスはエリアが生命線。そこでは他社に絶対に負けない、という意気込みでやっている」と回答。3G回線と同様に、ミャンマー全土にまで拡大していく考えを示した。
同社が培ったノウハウを他国に展開することもあり得るのだろうか。これについて、岡部氏は「ミャンマー以外にも、東南アジアにおいてデータ通信の利用が伸びていきそうな国を検討している」と説明、具体的な国名は明かさなかった。ここで記者団からモンゴルについて聞かれると「人口が300万人ほどで市場が小さい。またミャンマーよりも経済が発展しており、成長性がないわけではないが、ミャンマーの方が伸びしろがある」と回答。こうした説明がすぐに出てくるあたり、東南アジアにおけるマーケティングが行き届いている背景を伺わせた。
技術的な面でKDDIがMPTモバイルに貢献している例を聞くと、グローバル事業本部で技術管理を担当している永田稔氏は「例えば、運用・保守が挙げられる。MPTではそれまで、基地局を設置した後にアンテナの調整や、電波の干渉調整を行っていなかった。そこで弊社の経験をもとにチューニングして、干渉などを減らしていった。ネットワークの品質維持、24時間の監視体制などで貢献している」と明かした。
ミャンマーでは1台のスマートフォンに2枚のSIMカードが挿せるデュアルSIMが流行している。このため100%を超えた普及率だが、まだ伸びしろがあるという。グローバル事業本部のコンシューマビジネスを担当している堀田和志氏は「周りの東南アジアの国では、高いところで170%の国もある。平均で120~150くらい。15歳以下、60歳以上の利用者が残っており、これを獲得すれば利益もさらに伸ばしていける」と話していた。