フィルター清掃と試運転を

――冷房を本格運転させる前に、やっておいた方がいいことはありますか?
一番はフィルターの清掃です! 節電性能にも大きく関わるので、必ずやっておくべきです。水洗いか掃除機で、ホコリを除去してください。

また、室外機の吹き出し口に障害物がないかも確認してください、室外機は室内から持ってきた熱を排出しているわけですから、障害物があると、自分が吐き出した熱い空気をまた吸うことになり、熱交換の効率が非常に悪くなってしまいます。

――帰ったら早速確認してみます。事前のメンテナンスは、フィルター掃除以外では何かありますか?
一般の消費者の方にしていただけるのは、フィルターの清掃くらいだと思います。

ただ、本格的な冷房シーズンとなる前に、一度エアコンの試運転もしていただきたいですね。エアコンの修理依頼は夏が多く、当社の場合は1年間で受ける修理件数のうち45%が6~8月に集中しています。中でも7月、「冷房をつけ始めたら異常に気づいた」というパターンが非常に多いんです。本格的に暑くなる前であれば修理もスムーズにできますので、試運転は重要です。

――なるほど。具体的に試運転の方法を教えてください
冷房の場合、最低温度(※16度~18度)に設定して10分程度運転します。冷風がきちんと出ているか、異常を示すランプが点滅していないかを確認し、さらに30分程度運転させて、室内機から水漏れがないか確認してください。また、異臭や異音もしないか確認します。

――異臭や異音というと、どのようなニオイや音がするのでしょうか
異臭としては、カビくさいニオイがすることが多いです。フィルターにたまったホコリを栄養源としてカビが生え、風と一緒にカビのニオイも吹き出してしまうんですね。

異音はいろいろあるのですが、「カタカタ」とかエアコンの運転音として明らかにおかしいものは異音とみなしてください。ただし、マンションなど気密性の高い建物では、屋外に水を排出するドレンホースから屋外の空気が入り込むことで水がスムーズに流れず、「ポコポコ」という音がすることもあります。しかし、これは機械の故障ではありません。

――では、「ポコポコ」音は放置してもOK?
多くの場合は大丈夫ですが、場合によっては水漏れの原因にならないとも限りません。空気溜まりができている場合は、部屋の通気口を開けることで改善されます。

暑い日は冷房を!

――夏がくるまえに梅雨がありますが、毎年「除湿」か「冷房」かどちらをつけるべきか迷っています
一般的な除湿運転は、実は弱い冷房運転なんです。室内の空気を取り入れて冷やすことで空気中の水蒸気を凝結させて排出し、水蒸気を除いた空気を室内に戻すことで除湿しています。

――「除湿」をつけても涼しくなったような気がするのは、弱い冷房運転をしているからなんですね
はい。しかし、除湿運転は室温を下げることが目的ではないので、多少温度は下がりますがそれは副次的なものです。

梅雨に多い、"外気温は高くないけど湿度が高くて不快"という日は、除湿運転を使うことで電気代を抑えながら快適にできると思います。逆に、外気温が30度以上になる真夏日の場合は、効率的に室温を下げられる冷房運転がオススメです。

――時期ではなく、その日の気温や湿度を見ながら決めると良さそうですね
そうですね。「季節的にまだだろう」と冷房を控えて熱中症になっては元も子もありません。