神奈川県・湯河原温泉は名前の通り、河原で温泉が湧く様子が万葉集に唯一歌われた、日本屈指の歴史と伝統を誇る温泉地。奥湯河原地区を中心に、高級宿が多いのも特徴だ。敷居が高く見える温泉地だが、箱根と伊豆の中間に位置して交通至便な割には、気軽に泊まれる宿泊料の宿も多い。今回は、源泉かけ流しの旅館も多く、四季の風情も素晴らしい、湯河原温泉の魅力を紹介しよう。
実は神奈川県屈指のホタルの名所
初夏の風物詩とも言えるホタルは、水が非常にきれいな場所にしか住めない。東京近郊では絶滅したイメージだが、毎年6月上旬の湯河原温泉「ほたるの宴」では、整った鑑賞環境で気軽に見ることができる。
「ほたるの宴」が行われるのは、湯河原温泉の中心部にある「万葉公園」。万葉集に登場する湯河原温泉にちなみ、万葉植物を集めた緑豊かな公園で、至近距離に町営万葉公園第2駐車場があり、車でも気軽に立ち寄れる。駐車場は1時間100円だが、公園は入園無料だ。
ホタル出現場所の花木園は公園の奥にあり、緑色の照明に照らされて、意外と明るく驚かされる。ホタルは暗い場所で鑑賞するのが常識だからだ。しかし、緑色はホタルに影響しないようで、辺り一面緑色の中で、黄色いホタルが乱舞して大変に美しい。
ホタル発生状況は、ホームページに毎日掲載されており、「見頃」と書かれていたら、すぐに行くのがオススメだ。湯河原温泉「ほたるの宴」では「花菖蒲展」も同時に開催されており、公園入口の観光協会一階に展示された花菖蒲もあわせて楽しんでいただきたい。
●information
湯河原温泉「ほたるの宴」
住所: 神奈川県湯河原町宮上566 万葉公園花木園
アクセス: JR東海道本線 湯河原駅から奥湯河原方面行きバス約15分。落合橋下車すぐ
今が見頃のサツキは「さつきの郷」にて
湯河原温泉は四季折々の風情を満喫できる温泉地で、「ほたるの宴」の時期には「さつきの郷」も楽しめる。サツキはツツジに似ているが、ゴールデンウィークが見事のツツジに比べて開花時期が1カ月遅く、5月末から6月上旬が見頃。ただし、一斉に咲くツツジに対して、やや五月雨式に咲くとも言われる。
一面のサツキ一色を期待すると、期待ハズレに終わる恐れもあるので、真鶴半島を見下ろす雄大な景色とともに、全体的な世界観を楽しみたい観光スポットだ。無料駐車場完備で、入園も無料で気軽に立ち寄れる。
●information
湯河原温泉「さつきの郷」
住所: 神奈川県湯河原町吉浜字星ケ山2024番地
アクセス: JR東海道本線 湯河原駅から1日5往復の臨時直通バスを運行(2017年は6月11日までの予定)
キズ物が激安! 老舗なのに格安なひもの専門店
湯河原温泉は高級宿が多いので、ランチはファミレスや蕎麦屋などで済ませて、旅館の夕食に備えるのがオススメ。その分、翌日の土産物は大量に買い込もう。
湯河原や伊豆の温泉宿の宿泊すると、朝食に必ず干物が出て、久しぶりに食べる干物のおいしさに感動することが多い。肉に比べてもヘルシーで安いので、土産物として購入する人も多いだろう。贈答品なら熱海の釜鶴など、一流ひもの店で買うのもいいが、自宅用なら絶対見逃せない店が帰路にあるので、それまで購入を控えてほしい。
湯河原に行っても伊豆に行っても、帰りに必ず通るのが根府川で、公衆トイレ付きのパーキングがあるので、場所を知っている人も多いだろう。その一角に、小田原の文久三年創業の老舗ひもの屋「山安」の支店が近年オープンした。
オススメは「キズパック」。魚が5匹前後入った1パックが、なんと税込310円。しかも、アジ、キンメダイ、ホッケ、サバ、エボダイ、カマス等と品数も豊富だ。冷凍されているので、内側が銀色の保冷バッグを持参すれば、自宅まで凍ったまま持ち帰ることができる。
格安品の魚介類は実は外国産だが、老舗ひもの店の技術と選択眼でおいしい干物に仕上げており、キズ物でも自宅で食べる分には全く問題ない。普段肉を多く食べ、魚介類は基本的に嫌いという筆者のような人にもぜひ試してほしい一品だ。試食品もあるので、老舗の干物の味を確かめながら選んでみるといいだろう。
●information
山安 根府川店
住所: 神奈川県小田原市根府川197
アクセス: JR東海道本線 根府川駅から徒歩10分
おいしいひものを手に入れた後は、やっぱり温泉で疲れを癒やしたいところ。続いては日帰りで楽しめる温泉施設や文人墨客たちに愛されてきた宿を紹介しよう。