九州市場の特性に合わせて

今回取材したソニーストア福岡天神は、全国4店舗目のソニーストアとして、2016年4月1日にオープン。当時は、アップルストア福岡天神の目の前への出店という立地が大きな話題を集めた。同店では、福岡を中心とする九州市場の特性を捉えて、開店当初から、音楽と写真(カメラ)にフォーカス。それにあわせて福岡天神店ならではの様々なイベントを開催してきた。

なかでも、店舗内の什器が移動式になっていることを生かし、店内に特設ステージを設置して行われるストアライブは同店ならではのものだ。開店1周年を迎えた2017年4月1日にも、記念ストアライブを開催。ソニー・ミュージック所属のアーティストである住岡梨奈さんがミニライブを行い、地元の音楽ファンを集客。さらに、地元アイドルユニットの10神ACTORのサカタケントさんや、同じビル内にある福岡市立中央児童会館「あいくる」で結成された女子高校生バンドがミニライブを行い、開店1周年を盛り上げた。これ以外にも、ミニライブは随時開催しており、音楽発信の場としても、徐々に定着してきたようだ。さらに、シアタールームを活用した月1回の定期試聴会のほか、クラシックの集い、アニソン視聴会を定期的に開催。ハイレゾならではの音の響きを体験することができる場になっている。

ソニーストア福岡天神の店内の様子

016年11月に開催した瀧川ありささんのミニライブの様子

2017年4月の住岡梨奈さんのミニライブの様子

2017年4月に店内で行われた立川生志さんによる落語会

また、写真についても、α PLAZAを、昨年12月から、ショップインショップの形態で開設し、ソニーのすべてのカメラやレンズを展示し、試用できるようにしているほか、メンテナンス技術を持った専門技術者を常駐。プロカメラマンからハイアマチュア、初心者に至るまで、様々な要望に対応できるようにしている。この体制を活用して、全国のソニーストアとしては初となる「αプライベートレッスンチケット(30分)」を、α6000シリーズ購入者にプレゼント。スタイリストと1対1で、カメラの使い方や撮影のポイントなどを無料で教えている。今後、他の機種でも同様のプライベートレッスンを受けられるサービスを検討中だという。

そのほか、α PLAZAでは、この時期に撮影にお勧めのスポットを紹介するマップを掲示。「九州には多くの自然があり、撮影スポットも多い。ソニーストア福岡天神のスタイリストも、自らαを持って撮影に出向いている」(ソニーストア福岡天神の高田和子店長)という。高田店長も休日には写真撮影に出向き、その作品を応募するといったこともあるという。店長やスタイリストが自ら実践する店舗である点も特徴だ。

α PLAZAのコーナーには専門家が常駐して対応する

αフォトコンテストの入選作品が展示されている

九州全域の初夏の撮影スポットマップ。社員の手作りだ

2階のギャラリーでは、随時、写真展が開催されている

2階のギャラリーでは、プロカメラマンや写真家による写真展を随時開催。6月は、八ヶ岳でフクロウを保護しながら、写真を撮り続ける写真家の斉藤嶽堂氏による「ふくろう 緑の森に棲む賢者」と題した作品展が行われている。さらに、1周年企画として、今年3月には、九州および山口をテーマにしたαフォトコンテストを開催。約100点の応募のなかから、写真家の中西学氏が選んだ入選作15作品をαPLAZAおよび2階のコミュニティルームに展示している。

また、写真におけるユニークな取り組みのひとつが、ストリートスナップの撮影サービスだ。ソニーストア福岡天神の店舗の前を通りかかった人を、αを使って撮影し、写真をプレゼントするもので、クリスマスや正月、バレンタインディなどに合わせて実施している。最初は、ソニーストアの2階にあがってもらい撮影をしていたが、なかなか集客が難しいということもあり、ソニーストアの1階入口で写真撮影を行うスタイルに変更。それによって、多くの人が参加する人気イベントのひとつになった。高田店長によると、「また、写真撮影サービスをやっているんですね」「次回も来たい」という声が出るほど定着してきたという。

ストリートスナップ撮影の様子。2017年4月29日には、宮崎県えびの市公認キャラクター「みなほちゃん」が参加

ソニーストアが福岡に出店してからの1年間で、九州地区におけるソニーのプレゼンスは上昇しているという。九州全域の量販店の担当者に向けたセミナーを、ソニーストア福岡天神の店舗を使いながら実施することで、製品に関する知識を高めてもらったり、事前に新製品を体験してもらう場を作ったりすることで、ソニー製品に対する量販店の売り場スタッフの理解が向上。量販店でのソニー製品の販売にも弾みがついているという。

さらに、それぞれのコーナーがコンパクトに1フロアに収まっているのもソニーストア福岡天神の特徴を生かして、スタイリストが複数の製品について説明できる環境を実現。「スタイリストが複数製品の説明を行ったり、組み合わせ提案を行ったりといった動きが出ている」という。地齋、αで撮影した写真を、BRAVIAで見て楽しむといった提案なども増えているという。

一方で、地元企業との連携も強化。現在、福岡に本社を置く家具メーカーの広松木工とのコラボレーション展示を行っており、BRAVIAやオーディオシステムとともに、同社のソファやテーブルなどを展示し、空間としての提案を行っている。また、福岡を拠点として展開しているカメラアクセサリーブランド 「ULYSSES」とソニーストアのコラボレーションとして、地元の伝統工芸である博多織を用いた「パソコンケース」、「アクセサリーポーチ」を商品化。新たに博多織オリジナルアクセサリー第2弾 として、「博多織カメラストラップmemento(メメント)」も発売した。博多織の生地は、博多織織元のなかで最も長い歴史を持つ老舗メーカーの西村織物の協力を得たという。

こうした地元企業とのコラボレーションも進めながら、ソニーストア福岡天神では、今後も、音楽と写真を中心に、九州、中国エリアでのソニーファンづくりに取り組む考えをみせている。

福岡に本社を置く家具メーカーの広松木工とのコラボレーション展示。地元企業との連携も多い

ロボットプログラミング「KOOV」を体験できるコーナーも

期間限定で店頭展示していた製品をアウトレットモデルとして販売するセールも実施

3割引き以上で購入できる製品もあり、かなりのお買い得だ

アウトレットセールの様子

ソニーストア福岡天神の高田和子店長