より主張するSiriへ
開発者会議WWDC 2017でも、Siriの活動範囲がより拡がった。前述のように、我々の行動や端末利用のパターンを見出して、最適な情報を提供する、というSiriの仕事について、新OS向けにいくつかの機能を披露している。
まずApple Watch向けのwatchOS 4には、新たに「Siriフェイス」という文字盤が追加された。この文字盤は、Siriが普段何を考えているのかを垣間見ることができる興味深い機能と言える。
Siriフェイスを設定すると、文字盤にはカード型の情報が並び、デジタルクラウンでぺらぺらとそれらをめくることができる。時系列に、ユーザーが必要な、あるいは必要になりそうな情報を並べており、その中にはこれから先に起きる未来の情報も含まれている。
例えば、次の予定に向けて移動しなければならないとき、渋滞が発生していて、普段よりも時間がかかるなら、移動開始の予定開始時刻よりも前に、渋滞していることを表示する。また、ワークアウト機能で、あともう少しでアクティビティのリングが完成するとき、何分間、どんな運動をすれば良いかを提案してくれる。
iPhoneの例では、ウェブ閲覧をきっかけにしたニュースの提案や文字の推測候補のカスタマイズを披露していた。
例えばウェブでアイスランドについて検索していたら、ニュースアプリではアイスランドの旅行に関する記事をピックアップし、同国の首都、レイキャビク(Reykjavík)の複雑なスペルを、QuickTypeの推測候補に優先して表示していた。
このように、明示的かどうかに関わらず、Siriは我々の行動から、次に何が起きるか、何が必要か、ということを割り出し、先回りして情報や環境を整えているのだ。
モバイル時代の機械学習のアプローチ
機械学習、人工知能と言えば、グーグルが思い浮かぶ。またAmazon Echoが好調なアマゾンの存在も大きい。いずれも、巨大なクラウドサービスを擁しており、膨大な計算量をこなせる環境を駆使して、様々な成果を上げている。もはや、人間はグーグルのAlphaGOには勝てないようだ。