実店舗で食べて欲しいという本音
水留社長の別のコメントを拾っても、郊外への展開の可能性は高くはない。そもそもの経緯について、「"うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。"という企業理念を多くの人に体感してもらいたい。なかなかスシローに足を運べない人に向けて、スシローの寿司を楽しんでもらうために始めた。都心の会社の会議でも味わってもらえたら……」とし、同氏のコメントからも"都心"という言葉が出てくる。
スタンスとしても、事業の柱とすることは想定しておらず、あくまで実店舗で調理ができることを強みとし、"キッチンの有効活用"、"サービスの進化系"としての位置づけにあるという。
ビジネス的には、今後、中食市場の拡大が見込まれるなかで、スーパーなどで販売する寿司は作りたてのおいしいものがないとし、そこに商機を見出しているようだが、だからといって、デリバリーを全店展開するとも述べていない。
スシローがこだわるのは、素材の品質であり、来店できる人に対しては、店舗で素材の旨さを味わって欲しいという気持ちがあるのだろう。実店舗になかなか行けない人に向けたサービスなのだ。
では、東京以外でデリバリーはやらないのか、というとそうでもないようだ。同氏は「都心部といっても大阪もあれば名古屋もある」とエリア拡大をほのめかす。しかし、スシローのこだわりと話の流れを総合して考えると、郊外の路線はやはり薄そう。都心部へは、年間3~5店舗、新規に出店していくというが、郊外の人は、おとなしく実店舗に行ったほうがよさそうだ。