口コミ効果を狙うmineo

"紹介"の活用は今回から始まったことではない。現状も新規契約者の3割は"紹介"、つまりは"口コミ"によるものだという。

口コミの分析も進めており、上田氏は家族を例にして次のように話す。お父さんならお母さんに紹介する。ただし、職場の知人には紹介しない。お母さんは子供、知人、両親に紹介する。こうした傾向があるとする。口コミマーケティングでは、女性がキーになるというが、それを身をもって理解し、キャンペーンにつなげていく、そうした循環を生んでいるのだ。

もちろん、紹介キャンペーン自体はよく使われる手法であり、他のMVNOでも行われている。mineoが少し異なるのは、口コミ効果を"最大限"に得るための策があることだ。そもそも、口コミ効果を狙う段階で、ユーザーの満足度が高くなければ、効果は落ちてしまう。そうならずに、効果を高める仕組みがあるのだ。

キーとなるのが、ユーザーコミュニティサイトの「マイネ王」である。互助の精神で成り立つコミュニティサイトで、あるユーザーがスマホに関する質問を書き込むと、別の詳しいユーザーが回答してくれる。mineoのサービス内容とは直接関係のないアンケートを募れるなど、疑問を解消するだけではなく、楽しむためのサイトにもなっている。

mineoの全ユーザーの約4割、21万人がマイネ王のメンバーだが、ユニークユーザーは月間70万人であり、mineoの非ユーザーも数多く訪れていると見られる。多くの人を惹きつけるコミュニティサイトになっているのだ。口コミ効果も手伝い、いまや68万契約、MVNO市場でも4位をキープしており、年度内に100万契約を目指して、目下順調に進んでいるという。

コミュニティサイトマイネ王トップ

現状、MVNOは新規契約者を得るために、どこも認知度を高めるとともに、「安心・安全」をキーワードに施策を打ち出している。これ自体は正しい戦略なのだろう。そのために各社はテレビCMを放映し、リアル店舗を設けて対面販売を行い、サポート体制も充実させようとする。しかし、こうしたやり方では、過去の経営資源や資金力の豊富さで勝敗が決してしまう。

ワイモバイル、UQ mobile、楽天モバイルと、格安通信の大手を見れば、経営資源、資金力ともに豊富。他から見れば、バンバンとテレビCMが打てて、リアルショップを多数展開できるなど多数の手を打てる状況に映るだろう。ケイ・オプティコムもテレビCMを放映しているが、上田氏自身、テレビCMを打てる大手との間に差を感じると発言しているほどだ。

しかし、同社には、資金力が必要ない口コミという強い武器がある。大手と渡りあうなかで、今後、コミュニティサイトの力、ひいては口コミをどう活用していくのか、注目しておきたいところだ。