パナソニックが栃木県・宇都宮市に構える「モノづくり革新センター」は、「VIERA」シリーズの4Kテレビや、「Technics」のHi-Fiオーディオなど高級製品を生産している拠点だ。このたび、同社のジャパンプレミアム戦略の一翼を担う、その内部施設がメディアに公開された。本稿では、そこで見学してきた4K有機ELテレビの生産現場を紹介しよう。

パナソニックが栃木県・宇都宮市に構える「モノづくり革新センター」

パナソニックは2017年、テレビの生産を始めてから50周年の節目を迎えた。その歴史の中では、1974年にブラウン管テレビ「クイントリックス」シリーズが生まれ、1990年にはブラウン管のフラット大画面テレビ「画王」シリーズがヒットした。そして2003年に誕生した「ビエラ」は、今日までにプラズマから液晶、有機ELにも広がり、3D対応、スマートOSの搭載、そして4Kテレビへ進化を遂げてきた。いよいよ6月中旬には国内でも4K HDR対応の有機ELテレビ「EZ1000」「EZ950」の3機種が発売される。

4K HDR対応有機ELテレビ、65V型のフラッグシップモデル「EZ1000シリーズ」

同センターではTechnicsブランドのハイエンドオーディオ製品も製造されている

自発光パネルに、継承してきた技術を再び

パナソニックのテレビ工場は2000年代から徐々に国内の生産拠点を集約して、2012年にモノづくり革新センターが発足した。こちらの施設では現在、有機ELテレビと液晶テレビの4Kプレミアムモデルのほか、BtoB向けのケーブルテレビ用STBや小型サイズの業務用テレビ、ならびにTechnicsのハイエンドオーディオ製品を製造している。

その生産工程を担うのは、高度に精密化された最新のファクトリーオートメーション機械と、厳しいトレーニングを積んできた熟練の工場スタッフたちの手だ。長年培ってきた要素技術を資産として継承しながら、日本国内での設計・生産にこだわり続けるパナソニックのようなテレビメーカーは近年では非常に稀である。

工場の通路。壁面にパナソニックのテレビ製品の歴史が紹介されている

有機ELは、パネルを構成する画素一つ一つが独立して光る自発光型のディスプレイだ。その特徴は、例えば真っ暗な夜空に輝く星のきらめきや、鮮やかでナチュラルな色合いの高い再現性などに現れる。その背景にはパナソニックがプラズマテレビを開発していた頃から培ってきた自発光ディスプレイの制御技術や、ハリウッドの第一線で活躍するカラーリストと呼ばれる色再現のスペシャリストたちと一緒に積み上げたチューニングのノウハウが活きているという。

EZ1000 / EZ950シリーズの基板。組み込まれる部品の点数は1,582個にも及ぶ