オリラジ中田が語るゲーム観

中田:ゲームって確かに色々な利用方法がありますよね。僕はソーシャルゲームをあまりプレイしていないんですが、ファミコン、スーファミ、セガサターン、プレイステーションなどで遊んだゲーム世代。常にゲームが身近にありました。これは妻とも話すんですが、ゲームは"悪"ではないと。新しいメディアのことをその前の世代ってすごく批判しますよね。今だったら"インターネットが悪い""ネットは悪の巣窟"とか。でも、僕らの世代はゲームへの偏見がなく、フラットにゲームの価値をわかっているので、ゲームを通して人となりを見るというのは非常に効率的。本当に「いちゲー採用」は面白い。イマドキっぽいし、古い企業が取れない人材が取れそうなので、僕は可能性しか感じないやり方だと思います。

みよし:僕も募集サイトのキャッチコピーなどを書くために色々調べたんですが、現在、ネットには、ゲームは無駄か、無駄じゃないかの論争が溢れています。太古の昔、本が世に出回った頃"本なんて読むやつはバカだ""本を読む暇があるのなら働け"などと書いてあったと言う人もいて、やっぱり同じことなんだなと思いました。ひょっとしたら10年後、20年後にはゲームはやっておいたほうがいいという話になっているかも知れませんね。

中田:人の価値や物の価値っていうのは、その内部にいる人は発掘しづらい。ゲームをやってきたという人の周りも、当然ゲーマーの確率が多くて、"ゲームばっかりやってるな俺達""ほんと駄目だな"とかいう話になるけど、ゲームをやったことのない環境や、それが活きる環境に身を置いたときに、圧倒的な力を発揮すると思うんですよね。

僕も音楽関係で面接をした際、本人に"ここがすごいね"って指摘しても、あまりピンときていないことが多かったんです。PRしてくれるところも凄いんですが、そこじゃないポイントを見つけて組み合わせてグループにするのが好きになりました。「いちゲー採用」でどんな人が集まるのかも非常に楽しみです。

みよし:ありがとうございます。

中田:ちなみに、少し脱線しますが、ゲームに関しては、他界したうちのおじいちゃんが好きで、RPGしかやらない人でした。当時のゲーム機をすべて揃えていて、使わなくなった写真現像のための暗室で、ずっとRPGだけをプレイしているっていう(笑)。

みよし:めちゃくちゃハイソですね!

中田:途中、受験などでゲームをやめちゃいましたが、それでもおじいちゃんはずっとプレイしていて、その影響で僕もRPG好きになりました。それこそ、おじいちゃんの形見は『ドラゴンクエスト4』だったり。一番思い入れがあるのは『ドラクエ4』で、『ファイナルファンタジー』シリーズに関しては、主人公ロックが出てくる『ファイナルファンタジー VI』あたり。仲間を集めて、ストーリーを進めるというのが頭にあるので、今もヘンな仲間を集めて、どこかに行くっていうことが好きですね。

「いちゲー採用」の今後

みよし:通常、エントリーシートには、サークル活動を頑張りました、バイトを頑張りましたなどと書きますが、アナタはほかにも時間をかけたものがあるでしょ? と思うんです。就職活動に向けてやってきたことって、実はどうしても薄っぺらくなってしまう。

中田:合コンでよくある特技披露みたいに、ですね(笑)?

みよし:でも、今後ゲームを許容できる会社が増えてくると、サークル活動で1位になったことと、ゲームの大会で1位になったことは同じになると思っています。正直、ゲーム以外でも大学でやってきたことを自分の中で整理して書ければ、カッコいいことを書かなくてもいい。これを色々な会社でやってほしいんです。さらに僕らは次に向け、ゲームじゃないものを使ったり、これも書いていいんだなということも発信したりしていけたらなと思っています。

中田:受ける側の意識が変わってくるかもしれないですね。こんなことも書いていいらしい…みたいな。プラス、面接に適したゲームがさらに見つかるかもしれない。このゲームをやると面接のすべてがわかるみたいな(笑)。

みよし:それは…まずいですね(笑)。

中田:ちなみに「いちゲー採用」でカヤックさんに採用されそうな芸人としては、ゲームはわかりませんが、"一芸"秀でた芸人として見ると、"今、お笑い以外で評価されている芸人"には見込みがあると思っています。例えば、ピースの又吉(直樹)さんが作家として評価されたり、品川庄司の品川(祐)さんが映画で評価されたり、キングコング西野(亮廣)さんが絵本で評価されたり、渡辺直美がファッションブランドを作ったり。要するにお笑い芸人はお笑いだけやってればいいと言う時代が終わりを告げ、お笑い芸人が新規ビジネスをやり始めるのは、まっとうな努力だと思っています。エントリーシートに"僕は山手線にずっと乗っていて、2回乗らないと気がすまない"とか余計なことを1行目に書いていると、ドキっとしますよね。

みよし:たしかに、すごくドキッとします(笑)。

中田:でも、そこには複雑な理由があって、経済活動に繋がっているみたいな出口だったら、僕は採用されると思うんです。

みよし:その視点はすごいですね。

中田:要するに「いちゲー採用」でほしいのは、言われてないことをやってきた人、無駄だと思われたことをやってきた人。そういう求められていないけど、これまで爆発させてきたバイタリティがある人を採用したいという風なメッセージとして捕えていて、"他の事ができなくてゲームだけしてきた"だけじゃなく、ゲームが向いていた、ゲームで才能が開花した、だからゲームにのめり込んだ、みたいな人がいいですよね。