2017年5月26日、大阪府堺市のシャープ本社で開催された中期経営計画の発表会見。シャープの戴正呉社長は、少しでも早く、この内容を発表したくて仕方がなかったようだ。
開始予定時刻は、午後3時10分。戴社長は開始時間よりも、かなり早く雛壇にあがることが多いが、今回は、開始10分前に、記者やアナリストに資料が配布された直後に雛壇に着席。司会者に向かって、「資料が配付されたのならば始めよう」と促す異例の状況となった。司会者とは、「まだ6分あります。みなさんには3時10分とお伝えしているので、まだ来られる方がいます。もう少しお待ちください」といったやりとりの一幕もあった。
警備が厳しいグリーンフロント堺の入口からは、徒歩で10分以上はかかる同社本社での会見。車で来場しても、ゲートを通過してから会場に入るまでには、2分以上の時間は必要だ。司会者はそれを見越したのか、予定時刻の1分半前には、戴社長の要望通り、前倒しにして会見をスタートした。中期経営計画の会見が予定時間から前倒しでスタートした例は、長年の記者経験でも初めてだ。
一方で、会見の質疑応答では、日本経済新聞の記者に噛みつくシーンも見られた。
「日経新聞には反論したい。シャープは人員削減とばかり報道しているが本当なのか。それは個人の意見。まずい報道ばかりだ。亀山工場は、1400人の社員数が4000人になっている。実際の状況をチェックして報道してほしい」と、質問に答える前に、それまでの雰囲気とは違う、強い口調で反論してみせた。
2016年4月に行われた鴻海によるシャープ買収の会見でも、鴻海流ともいえる同社が主導権を持った会見スタイルが注目されたが、今回の会見でも、そのスタイルが健在であることを示してみせた。
2017年度に最終利益の黒字化を目指す
シャープが、鴻海傘下で初めて発表した中期経営計画の内容は、2019年度に売上高で3兆2500億円、営業利益では1500億円を目指すというものだ。
また、これに伴い、2016年度通期業績発表時には公表を見送っていた2017年度の業績見通しについても発表。売上高は前年比22.4%増の2兆5100億円、営業利益は44.1%増の900億円、経常利益は215.1%増の790億円、当期純利益は前年度のマイナス248億円の赤字から590億円の黒字への転換を予想。さらに、2018年度の売上高予想も2兆8900億円であることを公表した。