Google アシスタントで広がる可能性
この文脈があるからこそ、ユーザーとアシスタントの間での会話が成り立ち、一方通行に陥らないコミュニケーションが成り立つ。アシスタントの対話を通じて、レストランの予約、ケータリングサービスの活用などの一連のアクションをスムーズにこなしてくれることになる。
これまで検索はユーザーが抱いた疑問や質問に対する結果しか反映されなかったが、文脈をもった対話によって、ユーザー自身、気づかなかった発想や選択肢を導く可能性もありそうだ。そうなれば、これまでとは違った意思決定も可能となるわけだ。現段階ではやりとりには、まだ改善点が多く、グーグル自身、第一歩に過ぎないとしており、これからのサービスといった具合だが、期待は大きいだろう。
そんなグーグルは現状、さらなる開発を進めるとともに、その利用範囲を広げていくという。今夏以降に日本発売となるGoogle Homeに搭載したり、自動車のなかで利用可能にしたり、様々なデバイスにGoogle アシスタントを搭載していく方針だ。
また、「電球を付けて」「タクシーを呼んで」「ピザを注文して」といったアクションをGoogleアシスタントを通じて可能にするために、「Actions on Google」という枠組みを用意している。グーグルは電球メーカーでもなく、タクシー配車会社でもない。サービス提供側に枠組みを活用し、ソフトウェア開発を外部に行ってもらうことで、Google アシスタントの可能性を高めようとしている。
グーグルが目指しているもの
できることが多いのは、有用である証であり、有用であればあるほど、そのサービスやプラットフォームは力を持つことになる。グーグルは現状、Google アシスタントを通じたビジネスモデルについては「特に考えていない」としている。しかし、"文脈を読み取る力"をもってして、将来的に何がしかのマネタイズが可能になることも示しているといえそうだ。
もっと大きな見方をすると、グーグル自体が「AIファースト」という言葉をもってして、AIに注力していく意向を示している。機械学習の力を誰もが使えるようにすること、その恩恵を誰もが受けられることを目指しているのだ。理念ありきで、ビジネスモデルは二の次が多いグーグル。果たして、Googleアシスタントをもってしてどんなビジネスモデルを生み出すのだろうか。