ディスプレイには、アクティブマトリクス方式の有機ELを採用する。試作機で短時間ながらゲームをプレイしてみたが、精彩な映像から得られる没入感の高さはHTC Vive譲りのハイクオリティだった。サウンドは本体側面にヘッドホンをつないで聞ける。
本機にも、HTC Viveと同じく、ヘッドセットを身に着けたままプレーヤーが歩き回れる「ルームスケールVR」のコンセプトが継承されている。使いはじめる前に、カメラに向かって正対して腰の位置に両方のコントローラーを構え、プレーヤーのポジションを読み込ませる「センタリング」という作業を済ませておく。
プレーヤーが動き回れる範囲は最大2.5メートル四方だが、もう少し狭い部屋でも安全にプレイできるようにする機能を設けた。セットアップの際に、部屋のサイズに合わせてコンテンツ画面にコンピューターグラフィックスによる「バーチャルウォール」を表示して、家具などとの衝突を防ぐ仕組みだ。HTC Viveのように、プレーヤーが歩く動作もVR空間の中に反映されるので、座ったままプレイするVRコンテンツよりもいわゆる「VR酔い」の影響が少ないことも特徴だ。筆者もVR酔いをしやすい質だが、HTC Linkのプレイ感には満足できた。
本機で遊べるゲームコンテンツはHTC Link専用となり、スマホやPC向けのマーケットアプリから有料・無料のタイトルをダウンロード販売する。デバイスの発売当初はHTC Vive向けタイトルを変換したものを含めて10タイトル前後からのスタートを見込む。
なおHTCでは、最新スマホの「HTC U11」と「HTC Link」の発売に合わせて、アニメーション作品『攻殻機動隊 ARISE』のキャラクターを前面に掲げたプロモーション活動にも力を入れていく。同社スマートフォン・コネクテッドデバイス部門のプレジデントであるChialin Chang氏は「先進的でサイバーな作品のイメージが、HTCのプロダクトが打ち出したい方向性とピタリと重なった。攻殻機動隊のキャラクターたちと積極的にコラボしながらHTCのユーザー層を広げていきたい」と意気込みを語っている。
HTC Viveは、ハイスペックなPCが必要だったり、室内にモーショントラッキング用のセンサーを2台セットしたりなど、本格的なルームチューニングを必要とする、やや玄人向けのVRデバイスだった。HTC Linkは、より簡易にVRが楽しめるギアとして、多くのファンに受け入れられそうだ。