戦略的な価格設定を実現
「250万円を切る戦略的な価格設定を実現した」。ゴルフ発表会に登壇したVGJ営業本部長の長谷川正敏氏は、ゴルフのエントリーモデルである「Golf TSI Trendline」の価格設定に自信を示した。新型ゴルフの価格帯は、ハッチバックのGolf TSI Trendlineが249万9000円で、最も値段の高い「Golf R Valiant」が569万9000円だ。
エントリーモデルの価格は、7世代目ゴルフから据え置きとなっている。この価格設定についてVGJは、「国産車に乗っている人で、輸入車の検討を始めている方に買ってもらえる価格帯として意識」したという。ただし、エントリーモデルには新型ゴルフの特徴の1つであるトラフィックアシストが付いていないので、VGJがアピールする最新の技術を体感したいのであれば、エントリーモデルにオプションで「セーフティパッケージ」を付けるか、1ランク上のモデルを購入したほうが良さそうだ。
新型ゴルフは反転攻勢の決め手となるか
VGJが2020年に向けた目標として掲げる「Road to 2020」。同計画によると今は反転攻勢の時期であり、2017年は商品を集中的に投入する年と位置づけられている。その目標に沿う形で、今年は1月にコンパクトSUVの新型「ティグアン」を投入し、4月にはVWで最も小さいクルマである小型車「up!」を刷新した。シェア社長によると新車は好調な売れ行きを示しており、2017年1月~4月のVGJの販売台数は前年同期比で増加しているという。
新型ゴルフはVGJの勢いを更に加速させる可能性を秘めるクルマだ。2017年の9~10月には、プラグインハイブリッド車(PHV)の「Golf GTE」と電気自動車(EV)の「e-Golf」も発売の予定。日本で電動車の市場を取り込むことができれば、販売台数は更に伸びるだろう。
日本自動車輸入組合(JAIA)がまとめた2003年から2016年までの統計を見ると、ゴルフは年間2~3万台を販売する人気の輸入車だ。モデル別の販売台数では、2003年~2015年はトップの座に君臨していたが、排ガス不正問題の影響もあってか、2016年はBMWのミニにトップを譲った。この年の販売台数はゴルフが2万3000台弱、ミニが約2万4500台だった。
「顧客満足度でリーディングインポーターを目指す」。VGJのシェア社長は、販売店との連携強化などで顧客との結びつきを強化し、満足度で評価を高めたいとの考えを示す。満足度が上がれば、台数はついてくるという考え方だ。しかし、ゴルフがベストセラーカーの座から陥落したことには悔しい思いもあったに違いない。
最新技術をアピールしつつ、最も安いモデルでは250万円を切る価格を実現した新型ゴルフ。発売が2017年5月29日であるため新車投入効果は半年分しか見込めないが、2017年暦年の販売ランキングではどのような位置につけるのかに注目したい。