日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏は、「Windows 10 Fall Creators Update」について触れた。AIと深層学習を活用して写真の整理や動画コンテンツを加工する「Microsoft Sotry Remix」、アプリケーションの利用履歴をさかのぼって他のデバイスと連携する「TimeLine」を紹介した。
この辺りは別記事「3分でだいたい分かるMicrosoft Build 2017(2日目)まとめ」と重複するため割愛するが、興味深いのは「Windows 10 is home for developers」と題したスライドである。
そのまま和訳すれば、「Windows 10はiOS/Androidなどすべてのプラットフォームに開発環境を提供する」という、2016年中頃からMicrosoftがアピールしてきた施策だ。基調講演を最後にまとめた、日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 榊原彰氏の説明が分かりやすい。
平野氏が語る「Microsoft Story Remix」。ちなみにWindows 10 Insider Previewの最新ビルドはA/Bテストを実施中のため、本機能が使えるユーザーと使えないユーザーがいる |
榊原氏は「目立たないトピック」と前置きしながら、クラウド経由でデバイス間のコピー&ペーストを可能にする「Cloud-Powered Clipboard」や、Mac実機を必要とせずにiOSアプリケーションの開発を可能にする「Project Rome SDK for iOS」を紹介した(ただしMac App Storeへの公開は実機が必要)。
Project RomeはMicrosoft Graphを用いたクロスデバイス開発ツールキットとして、Windows版はもちろんAndroid版も用意してきた。iOS/Android版は現時点でプレビュー版だが、開発者へのアピール度は大きいだろう。
また、Windows 10 Fall Creators Updateでは、Windows Subsystem for Linux上でOpenSUSEやFedoraが動作するようになるなど、開発者の自由度は日々高まっている。
なお、Microsoft GraphはOffice 365やDynamics 365のデータを統合的に扱うモデルだが、その範囲は今後、人々のIDや所属などを管理する「People」、人々の行動内容を管理する「Activities」、そしてIDに紐付くデバイスの種類や識別を管理する「Device」まで広げていく。
そしてアプリケーション開発者は、各種データをMicrosoft Graph REST API経由で呼び出し、統合済みデータモデルをアプリケーションに組み込めるという。多くの人にとって、Microsoftは「WindowsやOfficeの会社」という印象が強いと思うが、Microsoftは本気でデータとAIを融合させ、「すべての製品に"知性"を組み込み」(榊原氏)、新たなビジネスプロセスの成長を目指しているのだ。
阿久津良和(Cactus)