中島裕翔、道枝駿佑の印象
――男性陣の話になりましたが、児童福祉司の木野愁平を演じる中島さんはさらにもっと外から、という立ち位置でしょうか。
木野くんは「子供にとって一番大切なのは母親なんだ」ということを信念として持ってる人なんですが、物語の展開上、だんだん事態が彼の信念とずれていきます。彼は世間的な見方の象徴という役割で、その見方はもちろんとても大事なんですが、そこにこだわりすぎると、にっちもさっちもいかなくなる。
麻子と結衣が調和に向かっていくにつれ、木野くんが自分の信念について「実はそうでもないんじゃないかな」と、だんだん気づいていくことは、一つの軸になります。
――中島さんもこんな素敵な役者さんになるとは。
本当ですよね。それこそ、14~5歳から見ていたので、びっくりですよ(笑)。不安定な時もあったはずだと思うのですが、「芝居をやる」ということに対して腹を括っているし、「俺が俺が」じゃなくて、与えられたポジションできっちり見せていくというプロフェッショナルさを身につけていて、ジャニーズにいないタイプかもしれません。新種ですよね。
昔は彼の中で、アイドルと役者のすみ分けが少し見つけられていない感じもあって、自分としては役者をやってきたいけど、そうじゃないところではアイドルらしさや華を求められるということに悩みがあったのかもしれない。でも、今はとてもうまくすみ分けられていると感じます。
――キーパーソンとなる息子役の道枝さんは、オーディションでの大抜擢だったというお話ですが、沢尻さんとどこか雰囲気が似ていますよね。
似てますよね。不思議なことに、藤木さんにも似ているんですよね。私の子供が16歳なんですけど、子供が親にどういう喋り方するかというと、実際ああいう感じなんですよ。とうとうとセリフを喋るようなことはなく、ぶっきらぼうで何を考えているのかわからない感じ。
――かなりリアルなやり取りを意識されてのキャスティングなんですね。
本当に、よくわかるんですよね。子供を見て「こいつ何か隠してるな?」と思う感じも”あるある”です(笑)。おもねるでもなく、演技を誇示することもなく、ただ自然に淡々と、物事に対してリアクションしていく感じこそ、リアルな思春期の男の子なんだと思います。
――役者陣にしても、物語の細部にしても、全体的にリアルさが求められているのでしょうか。
毎回必ず「親あるある」を入れていて、例えば1話で「ケータイ買ってあげるよ」と言うところがあるんですが、これもあるあるなんです。子供に好かれたいから、つい言っちゃうんですよ。言っちゃうけど、後ではたと「買っていいのか?」と揺れてしまう。
でも厳しくして、うちだけ持っていなかったらどうなんだ? とか、グルグルしちゃって、「誕生日だから」とか言い訳してしまうんですけど(笑)。徹底すればいいのに、結構揺れてしまうんですよね。そういう“あるある”もぜひ楽しんでください。
ドラマ『母になる』(日本テレビ系、毎週水曜22:00~)
3歳で誘拐にあった息子が、9年を経て13歳になって現れ、それに関わる3人の女性たちが傷つきながらも「母になる」までの物語。出演は、沢尻エリカ、藤木直人、中島裕翔、道枝駿佑(関西ジャニーズJr.)、高橋メアリージュン、浅野和之、風吹ジュン、板谷由夏、小池栄子ほか。
(C)NTV
"母になる"ことシリーズ
vol.1: 母になって、自分は変わったと思う?
vol.2: 自分に母親として点数をつけるとすれば何点?
vol.3: 無条件で愛したい! 母親になって実感した喜びは?
vol.4: 自分の時間はいずこ……母親になって実感した息苦しさは?
vol.5: 小池栄子が描く「母」、心理学者が語る「母としての物語」
vol.6: 小池栄子×心理学者が語る「生みの親」と「育ての親」の未来
vol.7: 2児のママ・板谷由夏が"怪獣たち"から学んだこと
vol.8: 『母になる』は、母と子の神話に別視点を示す物語