粉瘤が大きくなるのをそのままにしておくと、皮膚が破れて中身が出てきてしまうことがある。そこまで悪化すると、皮膚が炎症を起こし、赤く腫れあがったり痛みが出たりすることもあるので、抗菌剤や鎮痛剤によって炎症が治まるのを待たなければならない。

粉瘤を自分で潰したり取ったりしても大丈夫?

粉瘤が肥大する前に針を用いて自分で潰したり摘出したりしようと考える人もいるかもしれない。だが、それは危険な行為だ。

仮に粉瘤を自分で潰すと細菌が傷口から体内に侵入しやすくなる。そうなれば、患部が大きく腫れあがり化膿し、激しい痛みを伴うリスクが高まる。また、内部にたまっていた皮膚の脂などが飛散することで皮膚に炎症が起きる。炎症が起きた部分では組織破壊が進み、袋が周囲と癒着しやすくなるため傷痕も残りやすくなり、色素沈着も出てくる。そのうえ、袋が残っているため再発の可能性も出てくる。

自分で針などを用いて粉瘤を取ろうとしても根本的な解決に至らず、いたずらに痛みだけが増大する恐れがあるため、自分で取ろうとするのはやめるようにしよう。

粉瘤の治療費

「粉瘤が小さいうちに手術を」とはいっても、治療料が高ければ及び腰になってしまうこともあるだろう。

気になる治療費はというと、「保険適用になるので、手術代だけで5,000~1万円くらいです。初診料や診察料や痛み止めの薬などをもらったとしても、1万5,000円を超えることはほとんどないでしょう」と竹中医師は話す。

粉瘤の手術は、袋が小さければ小さいほど傷痕が目立たない。粉瘤の可能性があると思ったら、まずは診察してもらうことが重要だ。

ただ、顔の目立つ部位にできてしまった場合や、大きくなるまで放置してしまった場合はどうだろうか。「手術だと傷が残ってしまうのでは」などと心配になる人も少なくないはずだ。実は、できた部位によっては手術を選ばないケースもあるという。

「粉瘤が顔にできた場合は、手術で切りとると傷痕が目立つ場合もあります。皮膚の表面を小さく切って中身を出し、袋を小さくすることで治療するケースもあります。ただ、取り除かなければ完治はしないので、定期的に病院に通い、中身を出さなければなりません。手術がいいのか、継続的な治療がいいのかは、主治医の先生と相談しながら自分にとってベストな方法を選択してください」

粉瘤の臭いは数日履きっぱなしの靴下の数倍!

粉瘤を疑っていざ診察をお願いするとなったら、皮膚科か形成外科に行けば確実とのこと。ただ、皮膚科は手術をしない病院やクリニックも少なくない。事前に手術が可能か聞いてみて、もし手術をしていないと言われたら、近所にある形成外科を探してみるとよい。

竹中医師はこれまでに粉瘤の手術を何度も経験してきたが、「取り出した袋は、開けると悪臭がすごいんです。何日間も履いていた靴下の臭いを何倍にもした感じ」と話す。そんな悪臭を放つ垢や皮脂が体内でたまっていくのが耐えられない人は、早め早めの対処をするようにしよう。

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