食べてみると、ひんやりとして、くどくない甘さが口の中に広がり、暑さのピークを迎えるこれからのシーズンにマッチしそうだ。値段が700円だと提示されれば、妥当とも思えるほどのものであり、これが280円で販売されるということに驚きを覚える。味、値段ともに、回転寿司屋のイメージを大きく変えそうだ。
とはいえ、スシローは回転寿司屋。寿司を食べるために行くのであり、デザートは主役ではない。しかし、あきんどスシローの野口清史広告宣伝部長は、寿司同様に「もうひとつの太い柱としてデザートをやっていきたい」と話す。
コラボデザートを推し進めたもの
デザートに力を入れるのは、お客を呼び込めるとわかったからだ。それを証明してくれたのが女子高生だった。
部活帰りにスシローに寄り、デザートを食べる。その後で寿司を食べ、自宅に帰って行く。そんな光景を目にして、デザートで集客できることがわかったのだという。
回転寿司に女子高生のグループというのは意外だったのだが、スシローは地方・郊外に多く出店しており、野口氏の言葉どおりなのかもしれない。
スシローをはじめ、回転寿司屋が提供するデザートは価格が安い。ファミリーレストランでパフェを食べようとすれば、700円前後はかかるが、回転寿司なら女子高生でも出せる金額だ。そして、女子高生が訪れる時間帯は、お客が少ないアイドルタイムに相当し、お客を呼べるならば……ということでデザート強化に乗り出したとのことだ。
もうひとつ理由がある。それはコンビニの存在だ。お寿司を食べて帰っていくお客。その人たちが次に向かうのがコンビニだ。コンビニのスイーツは今や秀作揃い。回転寿司でありきたりのデザートを食べるくらいなら、コンビニで買って食べるという人たちが少なくないのだという。
こうしたお客の動きを察知したことで、デザートを提供するなら「本当においしいデザートを」ということで始めたのがスシローのコラボデザートとなる。女子高生を魅了し、コンビニスイーツにも負けない品質を保ちつつ、280円での展開には苦しさもありそうだが、経営上の課題を緩和するための商材ともいえそうだ。