――経験を生かし、強くなり、中学生棋士になった。現在の目標は。
中学生棋士の先生方は皆さんすごい実績を残されているので、傷をつけないように負けないように頑張りたいと思います。20歳までに結果を残したいという思いはあります。タイトルということ? ハイ……。名人もプロになったからには目指すべきものですし、強くならないと見えない景色があると思いますので、そこに立てるように頑張りたいです
――コンピュータが台頭する中、人間として新手、新戦法、新構想を創出したいという思いは。
いまはコンピュータがかなり強くなっていて、盤上において人間が勝る領域はどこにあるのか、あるいは全くなくなるのかは分からないですけど、コンピュータに関係なく面白い将棋を指すことは棋士の使命なので。そういう将棋を指せるように頑張りたいと思います
――さらに強くなるための課題は。
たくさんあると思いますけど、まずは序中盤の形勢判断でしょうか……。将棋にはものすごく強くなる余地があると思っていますので、自分の頑張り次第かと思います
――盤上に闘志は必要でしょうか。
闘志が必要かどうかは難しいと思いますが、もちろん勝ちたい気持ちはあります。でも、勝つためにはいかに最善に近づくことしかないので、局面局面で最終的な勝ち負けを意識した方がいいかどうかは……
――羽生戦のニラミは闘志の表れかと。
そ、そんなに見てましたか……。気がつきませんでした。終盤になってくると勝ちたい気持ちは強まってくるので、どんどん前傾姿勢になってしまうことはありますけど
――生まれてきたのは将棋を指すためだと思いますか?
……将棋を指すために生まれてきたかは分からないですけど、将棋に巡り合えたのは運命だったのかなと思いますし、将棋を突きつめていくこと、強くなることが使命……使命までいくかわからないですけど、自分のすべきことだと思います
25日、19連勝を懸けて竜王戦6組ランキング戦決勝・近藤誠也五段との大一番が控える。6組優勝を果たすと、約160人の現役棋士のうち11人しか参戦できない決勝トーナメントに進出する。さらに、その大舞台でも勝ち続け、渡辺明竜王への挑戦権を懸けた「挑戦者決定三番勝負」で羽生善治三冠(1組準優勝者)と激突――。そんな夢物語も可能性ゼロとは言い切れないのが今の藤井四段である。(5月2日・東京「将棋会館」にて)
『将棋世界』7月号
7月号(表紙・藤井聡太 6月2日発売 販売元:マイナビ出版 800円)では、本インタビューの将棋世界版のほか、対談「トップ棋士が見た藤井聡太の将棋」深浦康市九段×広瀬章人八段、第24回岡崎将棋まつり豊島将之八段vs藤井聡太四段、藤井将棋の天才性を分析する特集などを読むことができる。なお、マイナビ出版運営のWEBサイト「将棋情報局」では、藤井聡太四段炎の七番勝負【自戦記】藤井聡太四段、藤井聡太四段の本棚 ―天才棋士は何を読んできたか!?―、『ドキュメント藤井聡太四段』―史上最年少棋士はいかにして生まれたか―などの記事も掲載されている。