自由が丘に最大規模の店舗をオープン
自由が丘店へ行ってみると、まずは立地の割に店内が広いことに驚いた。座席は3店舗の中で最大規模の配置。店内98席、そして屋外に24席を用意している。屋外のテラス席がペット同伴も可能となっているのは、土地柄としての配慮かもしれない。
カールスジュニアは注文を受けてから調理に入るシステムのため、注文カウンターの裏にキッチンを作る必要がない。自由が丘店ではキッチンを地下に設置し、顧客の動線やスペースを十分に確保した。
渡邉社長によると、今回の出店で重要だったのは自由が丘が交通の要衝である点だ。自由が丘は東急東横線と大井町線の2線が乗り入れるターミナル駅であり、田園調布、二子玉川、渋谷、中目黒など、近隣都市からの集客にも高いポテンシャルがある。
出店は「クロール」「ウォーク」「ラン」で加速
昨年3月の再上陸から、約1年で3店舗を出店したカールスジュニア。それぞれに戦略や学びはあったのだろうが、このペースでは「10年で150店舗」という目標には届かない。この点を渡邉社長に確認すると、「予定通り」としたうえで次のように戦略を語ってくれた。
「現在はクロール(crawl)の期間と位置づけ、ゆっくりでも着実な店舗展開を進めています。続いてウォーク(walk)、そしてラン(run)と進めていきます。最初の段階においては、直営店でいろいろな立地を経験することにより、今後の店舗展開にノウハウをいかしていく予定です。ランの段階になれば、直営店舗に加え、フランチャイズも含めた拡大を図っていきます」
クロールには「這うように進む」という意味がある。カールスジュニアの出店戦略は3段階になっており、いまはゆっくり進めているが、そのうち駆け出すという考え方だ。今後の出店先としては、まずは関東圏を中心に検討していくという。
秋葉原、湘南平塚、そして自由が丘。カラーの違う街に直営店で出店しているのは、フランチャイズ制の導入に向けた布石と見ることができる。さまざまな立地で成功体験を作ったうえで、フランチャイズ制を導入して一気に出店ペースを上げる。こんな戦略を抱きつつ、今は雌伏の時を過ごすカールスジュニアは、話題の絶えないハンバーガー業界でも注目しておくべき存在だ。
ハンバーガー業界で150店というのは、現在でいえばファーストキッチン(ウェンディーズを含む)やフレッシュネスバーガーに似たような規模だ。これを達成できれば、業界でカールスジュニアが無視できない勢力となるのは間違いない。