無線で動かすことはできるの?
ウォーリー・ヅェン氏が記者の質問に回答した。無線で動かすことはできるのか、という質問には「ドローン本体についているケーブルは、送信機(プロポ)に繋がっているわけではなく、撮影した映像をモバイル端末にリアルタイム転送するためのベースステーションに繋がっている。海底の映像を地上で確認するためにケーブルを使っている」と回答。つまりドローン本体は無線で動いているようだ。しかし、ケーブルが切断された場合に(回収の利便性を考慮して)ドローン本体が自動で海面まで浮き上がる仕様のため、結論としてケーブルは外せない(無線で動かすことはできない)ということだった。
また、技術的に苦労したところについて聞かれると「水中で安定して静止させるためには、製品に水と同じ体積が必要になる。そこで本体だけでなく回路、ケーブルに至るまで精密に体積を計算しながら開発していった」というエピソードを明かした。
このほか、競合する他社製品と比較した場合の優位性について聞かれると「このスペックで製品を量産し、この価格で販売するというのは、他社では実現できないことではないか」と回答。なおPowerVisionGroupではPowerRayを単なるドローンとしては捉えておらず、画像や映像の撮影のほかにフィッシング用途などでも活用できる、必要に応じて機能を付加していけるロボットと捉えているために、純粋な意味での製品比較にはならないとも説明していた。
説明会の終了後には、屋外ではデモが行われた。
【動画】潜水ドローン「PowerRay」のデモ |
潜水するドローンという、ユニークな立ち位置を狙うPowerRay。製品デモを見た限りでは水中でも安定しており、操作性も良かった。静音性にも優れている様子で、モーター音で魚を驚かせるようなこともなさそうだ。そこで、本稿では敢えてネガティブな要素を洗い出したい。
まず、川釣りで利用するのは難しそうだ。国内には急流の河川が多く、川底も浅い。すぐに座礁してしまう。次に湖だが、例えば釣り人に人気の霞ヶ浦(茨城県)では透明度が2mを切る。綺麗な湖となると数が限られるのが現状。PowerRayが活躍できそうなくらい透明度が高いと、今度は国立公園の特別保護区などに指定されている。そこで、やはり海ということになる。例えば八丈島(東京都)や、沖縄地方の美しい海なら大活躍してくれるだろう。
最後は仕様について。水中における安定のために、実はPowerRayはズシリと重い。どのくらい重いの? と思う方は、PowerRayと同じ体積の入れ物に水を満たしたときの重さを想像してみて欲しい。潜水艦ゆえに仕方のない問題だが、これは遠距離を運ぶ際のネックになる可能性がある。
そして惜しまれるのが、ケーブルでつながっているということ。同社では、高画質の映像をリアルタイムで転送するために不可欠だと説明している。しかし、リアルタイム映像の画質が多少荒めだとしても、無線で動くモデルの需要も高そうな気がしてならない。
要求が高いのは、期待の高さゆえ。目のつけどころが非常に面白い製品であることは疑いない。空を飛ぶドローンには夢があるが、海の中を自由に泳げるドローンにもロマンがある。そんなことを思った。