東京・中野と言えば「サブカル」である。中野は今や、日本文化に確固たる地位を得たサブカルチャー界において、"聖地"と称されるまでになっている。そんな中野を実際に駅を降りてみると、もっと違う"顔"が見てくるかも。商店街でB級グルメを探しつつ、歩いてみた。
ここ数年の間に、中野駅周辺は様変わりした。シンボル的存在となっている中野サンプラザがそのままにそびえているため、数年前に訪れたきりの人でも「ここは中野だ」という感覚はあるかもしれないが、あたりを見回すとスッキリさっぱりと洗練された都市に整えられている。中野区は相当がんばったと言えるだろう。しかし、完全に新しい都市として造り変えるのではなく、商店街などは以前のままに残しているように見受けられた。
街は新しければいいというものではない。"老舗"という言葉に一言では語れない深みがあるように、長年の人々の思いが文化となり、その街特有の味わいとなっていくものだ。中野の商店街には、そんな"かみ続けたくなるスルメ"的なところがある。
中野サンモールはグルメと横道が楽しい!
中野は新宿からJR中央線で4分という好立地の街。駅周辺にはたくさんの商店街が密集している。北口の目の前に見えるのは「中野サンモール」で、駅のひさしが真っすぐにアーケードへと続いているため、導かれるように商店街へ入ってしまうかもしれない。
しかし、サンモールに入る寸前に「おやき処 れふ亭」を発見。地元住民らしき人の「今日は行列ができてないね」という声が聞こえてくるからには、おいしいに違いない。おやきは定番の「あんこ」のほか、「焼きいもあんこ」や「カスタードクリーム」など。「チーズ入りあんこ」という、味の想像をしがたいものもある。甘いものが苦手な人には、「マヨネーズ入りポークソーセージ」がオススメとのこと。いずれも120~160円で、それぞれ焼印がされている。
続いて見つけたのは、「健康食卓 わしや」。お惣菜の店らしい。おこわやおはぎ、コロッケなどのほか、店先に「備長炭カシューナッツ」「ホタルイカ一夜干し」など、お父さんのおつまみ風のものが並んでいる。お酒好きには惹かれるものがあるだろう。食べ歩きではコロッケを買うところだろうが、気付いたら「黒糖干し梅」(399円)を手に持っていた。
商店街にはパン屋がつきものである。「ボンジョール・ボン」のメロンパンがおいしいと聞きつけて訪れてみると、店内は人でごった返していた。その中に数分いただけで「メロンパン、メロンパン」とつぶやきつつさまよう人を何人見ただろうか。
アーケードの天井は高く、空からは明るい光が差し込んでいる。真っすぐに続く商店街のところどころには「道だったのか! 」と思うような細い横道が続いていて、そこからさらに別の商店街へとつながっている。時には、ちょっとした隙間が通り道だったりもして、なかなかに興味深い。そこから続く商店街のひとつ、「中野北口一番街商店街」は道がぐるぐるとしていて迷路のようだ。そんな小道探しも楽しんでもらいたい。
中野サンモールの全長は224m。天井を見るとどこまでも続いているような気がするが、意外とすぐに終わってしまう。その突き当たりに登場するのが、かの有名な「中野ブロードウェイ」だ。続いてはそんな中野ブロードウェイとともに、"都会の公園"を紹介しよう。