その後、マイクロソフトは、2015年にリリースしたSurface Bookで、ノートパソコン型とタブレット型を行き来できるディスプレイ取り外し可能なスタイル「デタッチャブル」デバイスを提案し、2017年には「ラップトップ」デバイスとなるSurface Laptopを発表した。

Surface Laptop(画像:マイクロソフトプレスサイトより)

また、「ラップトップ」分野では、Google Chromebookが、その価格の安さとキーボード付きでビジネスや教育分野での快適さを備え、大きく受け入れられた。米国の教育市場では特に顕著に受け入れられ、最新のデータではiPadがわずか11%のシェアを確保するに留まる中、Chromebookは58%ものシェアを占めるようになった

確かにタブレット市場はアップルが支配しているが、そもそも市場がタブレットから、デタッチャブルとラップトップへと移行しており、マイクロソフトとグーグルによるトレンドへと移ってしまったと指摘することができる。

アップルが解決しなければならない問題

アップルは2017年台2四半期決算のカンファレンスコールにおいて、iPadについて次のような認識を示した。「供給が逼迫する中で、890万台を売り上げることができた」というのだ。

裏を返せば、伸び悩んでいたのは、市場のニーズに合わせて製品を供給できていなかった点を示唆するものだ。実際にアップルは、2017年3月21日に、iPadのラインアップを見直している。

これまでのiPad Pro 12.9インチ・9.7インチモデルはそのまま残したが、7.9インチのiPad mini 2、9.7インチのiPad Air 2を生産終了とし、またiPad mini 4については128GBモデルのみをラインアップに残した。

その代わり、1世代前のiPad Airのデザインを採用した第5世代iPadを発表し、32GBのWi-Fiモデルで329ドルと、9.7インチモデルではこれまでで最も安い価格をつけた。

前述の需給問題とラインアップの整理、第5世代iPadの投入から考えられることは、「9.7インチの廉価版iPadにニーズが集まっており、これをしっかりと生産できる体制を整えた」ということだ。

第5世代iPad投入以前、399ドルで販売されていたiPad Air 2が最も安いタブレットだったが、実際に2017年に入る頃から、納期が8週から10週間となっており、需給のバランスが著しく悪い状態だった。例えば日本の4月の新学期に合わせてiPadを大量に導入したいと思って2月に発注しても、新学期までに間に合わないという状況になってしまっていた。

そうした機会損失が大きくなっている中で「890万台売り上げたのは良い結果だった」というのが、アップルの説明となる。今後、需給問題の改善から、iPadの販売台数の減少に歯止めをかけられるかどうか、注目していくべきだ。