連続1兆円突破に自信

スプリント事業においては、今後も手を緩めることはない。さらなる成長のために実施するのが、通信環境の改善だ。ひとつはHPUE(High Power User Equipment)と呼ばれる通信技術の活用。これにより、電波の直進性が高くビルなどの屋内には入り込みにくい、周波数2.5GHzの電波でも、1.9GHz並みの周波数を運用するのと同等のエリアをカバーできるようになるという。

HPUEにより高い周波数でも広いエリアがカバーできるという

また、5G時代の到来を見据えて、スモールセルを数百万局開設していくという。5Gはミリ波とも呼ばれる高周波数の利用が想定されており、エリアカバーの広いマクロセルと呼ばれる基地局では対応できない。基地局の場所取りにいち早く着手しようというわけだ。

屋内、屋外にスモールセルを数百万局開設する。5G時代に備える

さらに、決算当日に発表されたクアルコムと業務提携も見逃せない。5Gにおいて低周波数帯となる2.5GHzを活用しようという試みだ。クアルコムとの提携で対応チップを搭載した端末を2019年後半にリリースし、他社に先駆けてサービス提供しようというわけだ。

少し先の話になるが5G時代を見据えてデバイスレベルでも手を打つ

ソフトバンクグループはここ数年、連結業績予想を出していないが、「来年は確実に営業利益で1兆円を突破する。今年よりも増益になる」と孫氏は公言する。その根拠は国内通信の順調の伸びに加え、スプリント事業が成長エンジンになると見ているからだ。

国内通信事業において、激変が予測しづらい今、言葉通りに実現できるかどうかは、前提となるスプリント事業が大きく関わることになる。スプリント事業におけるネットワークへの取り組みをはじめ、ポストペイド契約者数の推移、解約率の動向が気になるところだ。これまでお荷物だったスプリント事業だが、今度は成長ドライバーになりきれるのかが注目されることになりそうだ。