ソフトバンクグループは、2017年3月期決算で、連結業績が営業利益、純利益ともに1兆円を突破した。純利益の1兆円超えは、事業会社においてトヨタ自動車に次ぐ2社目となる。

純利益1兆円超えは金融を除く事業会社で国内2社目になると説明する孫正義代表

ソフトバンクグループの連結業績において、純利益は前期比約3倍の1兆4,263億円だった。保有するアリババ株の一部売却(3,597億円)、テンセント関係会社へのスーパーセルの全株式売却(5,265億円)により、利益がかさ上げされた形だが、営業利益も前期比13%増の1兆260億円と伸びており、本業も好調だ。

ソフトバンクグループの2016年度連結業績の概況

では、どの事業が営業利益に貢献したのか。セグメント別で見てみよう。基本的には、流通事業を除く、全事業が好調だったが、国内通信事業、スプリント事業、ヤフー事業の3つが全体を牽引している形だ。

円ベースでの営業利益。棒グラフ右側が2016年度(左が2015年度)

国内通信事業は顧客をつなぎとめる効果が高い光回線の契約が大きく伸びた。ヤフー事業もストア数、ショッピング取扱高が順調に増加、日本のイーコマースで最も伸びている会社と評価する。全体から見ると小さいが、昨年買収を発表したARMも業績に貢献した。

こうした中でソフトバンクグループの孫正義代表が最も長く時間を割いたのは、米国のスプリント事業についてだった。

買収直後の米スプリントはネットワーク、顧客の質、財務において悲惨な状態だった。かつて孫氏は「買わなきゃ良かったとずいぶん後悔した」と回想したこともあるほど。売りたくとも買い手がつかず、自力再生するほかなかった会社だが、今回の決算説明会が温和なムードで進行したのはスプリント事業が軌道に乗り始めたからでもあろう。

孫氏はスプリント事業の説明にあたり、「1年ほど前から、そろそろ反転すると伝えてきた。いずれ成長エンジンになると予告してきた。その実態が現れている」という。

各種指標は孫氏の言葉どおりだ。携帯電話の契約純増数(ポストペイド)は前年度比2倍以上の93万増に、解約率もスプリント史上最良の1.48%となった。結果として、売上は前年度比4%増の333億ドルとなり、コスト削減も進め、営業利益は前年度比6倍増の18億ドルとなった。

売上は4%増の333億ドルに

ポストペイドは93万増

解約率はスプリント史上最良に

2年で34億ドルレベルの大幅コスト削減を実施