ところで、過去に女性3人組のドラマが流行していた時期はあるのだろうか。30年にわたってさまざまな女性の人生を描いてきたフジテレビ"月9"作品を振り返りながら検証していく。

鈴木保奈美(中央)は、渡辺真起子(左)、菊池桃子とともに『ノンママ白書』(2016年)で3人の女子会仲間を演じた

月9で最初に女性3人組ドラマが放送されたのは、1988年の『君が嘘をついた』。麻生祐未・鈴木保奈美・井上彩名が条件のいい男との結婚を目指すイベントコンパニオンを演じた。1989年の『同・級・生』では安田成美・山口智子・中井美穂が親友3人組、『愛しあってるかい!』では小泉今日子・藤田朋子・とよた真帆が教師と友人の3人組、1990年の『キモチいい恋したい!』では安田成美・田中美奈子・森尾由美が旅行代理店のOL3人組、『すてきな片想い』では中山美穂・和久井映見・とよた真帆の海苔会社のOL3人組で出演。このように、女性の社会進出が目立ち、ラブストーリーの最盛期とも言える当時が、女性3人組ドラマのベースを作った。

しかし、1990年代が進むにつれて女性3人組ドラマは姿を消し、2000年の『やまとなでしこ』で松嶋菜々子・矢田亜希子・須藤理沙が客室乗務員の3人組、2004年の『プライド』で竹内結子・中越典子・MEGUMIがOL3人組を演じた程度。その後も2011年の『私が結婚できない理由』で香里奈・吉高由里子・大島優子が高校の先輩後輩3人組を演じたのみだった。

月9の変遷を見れば分かるように、女性3人組のドラマが流行していたのは、1980年代後半のみで、現在の状況は「約30年ぶりの再ブーム」と言えるかもしれない。しかし、前者が「高視聴率を狙う攻めの一手」だったのに対して、後者は「低視聴率を避ける守りの一手」であるところに、ドラマやテレビそのものを取り巻く時代の流れを感じる。

ともあれ、演じる3人の女優は「他の2人に負けたくない」と懸命の役作りを見せるだけに、見る側としては「3人の演技を見比べる」という楽しみもある。今後3人それぞれが、最終回でどんな表情をし、どんな成長を見せるのか。見守ってみてはいかがだろうか。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。