今までにないジャンルの新しい白物家電は、社内のアイデア
LG stylerが生まれたきっかけは、役員の家族によるアイデアだった。シワがついていてしまった洋服をきちんとした状態で着ていきたいと家族に話したところ、お風呂場にお湯を張り、湯気を当てることでシワを伸ばすことを提案された。
それをヒントに、LG stylerは社内で企画された製品だ。同社では、常に社内からアイデアを募集しており、その中から生まれた製品が数多く製品化につながっている。
LGエレクトロニクス H&A事業本部 アプライアンスB2B部門 部長のイム・サンム氏は、「LG stylerは2011年に韓国で販売を開始しました。しかし、どのような家電なのか、世の中に知ってもらう第一段階は、あまりうまくいきませんでした。トライ&エラーを繰り返した末、今のヒットにつながったのです」と語る。LG stylerは既に存在しているジャンルの製品ではなく、今までになかったタイプの白物家電だったので、苦労の連続だったという。
初代のLG stylerは、サイズが大きく、現モデルより高価だった。当時のプロモーションも、高所得層があこがれるような訴求にしていたが、この方向性は失敗だった。一般層に「接しにくい製品」という認識が広がったのだ。
「そういったイメージをいったん壊すようにしました。親のスーツはもちろん、子どもの制服をかけておけば、ニオイやアレル物質が取れて清潔な状態を保てる。家族全員が使える家電という位置付けに方向転換しました」(イム・サンム氏)
よりコンパクトになり、価格が下がって手に入れやすくなったということもあるが、急激に売れ始めたのは、ここ数年で環境が変化し、生活スタイルが変化したためだ。
「共働き夫婦が増加し、暮らしのスタイルが変わりました。衣類をドライクリーニングに出す手間、天日干しやアイロンがけをする手間を惜しむ方が増えたのです。また、都市環境ではPM2.5、黄砂、アレル物質を気にする方が増えました。簡単に衣服をケアできるLG styler、そしてアレル物質を除去できるソリューションとして紹介したことで、広く注目されたのです」と、LGエレクトロニクス アプライアンスB2B営業チーム 次長のキム・ホンシク氏は語る。