格安SIMサービスには、ドコモの回線を利用したものが多い。この理由について内藤氏は、NTTドコモのネットワークへの接続料金がKDDI、ソフトバンクより安いことを挙げた。
最安値のNTTドコモと最高値のソフトバンクを比較した場合、例えば10MBあたりでは月額にして約30万円も差があるという。「MVNOにとっては仕入れ値が安い方が良い。だからドコモのネットワークを利用するMVNOが多い」と内藤氏。
このほかにも、NTTドコモでは早い時期からネットワークの貸出を提供していたので実績があり、体制も整っていると指摘。さらには、採用している通信方式や電波の周波数において最もシンプルなのがドコモであり、このためグローバル端末なども扱いやすいと説明した。多彩な理由からドコモの回線が選ばれているようだ。
大手3キャリアでは、ネットワークの整備にかかる費用が異なる。これがネットワークの接続料に転嫁されていると思われる。しかしNTTドコモのネットワークを利用するMVNOばかりが増えてしまうのも市場にとって好ましいことではない。そこで今後は、3社間におけるネットワーク接続の格差を縮小させるような制度の見直しも、総務省では考えているという。
KDDIやソフトバンクの端末がそのまま使えないのはなぜ?
最後のテーマ、これは「SIMロック」に原因があるようだ。例えばドコモで買ったスマートフォンにソフトバンクで契約しているSIMカードを挿しても使用できない。このSIMロックの仕組みをMVNOにも適用するか否かで、3社の姿勢が異なっている。
NTTドコモでは自社のネットワークを利用するMVNOに対して、SIMロックの解除なしに利用することを認めている。これによりドコモの端末はMVNOで契約したSIMカードを挿せば使える。一方で自社のネットワークを利用するMVNOに対してもSIMロックの解除を求めているのがソフトバンク(一部端末除く)。KDDIでもVoLTE端末を利用する際にはSIMロックの解除を求めている。