2017年は何が進化するか
2017年のF8では、このプラットホームを発展させ、新しい機能を追加している。まずDiscovery Tabでは、ビジネスを見つけやすくする方法を提供している。もしも店舗が、Messenger向けの2次元コードを提供していれば、Messengerから直接コードを読み取って、つながることができる。
また、Chat Extensionsでは、ウェブサービスやアプリの機能をメッセンジャーの中に呼び出して、チャットもしくはグループチャットで利用することができる仕組みだ。SpotifyやApple Musicの音楽を共有したり、レストランや映画の予約も、Messengerアプリの中で行うことができる。
さらに、人工知能「M」の活用も盛りこまれた。例えばカフェのアカウントに「場所はどこ?」と尋ねると、ボットで回答を用意していなくても、自動的にカフェの住所を返信させることができる。
また、会話の中で食事の約束を話すと、その時間のスケジュールを記憶し、自動的にリマインダーを出す機能も備わった。前述のChat Extensionsに対応するアプリが、Mと連携しておすすめを掲出することも可能だ。
いかに大きな存在に育てられるか
Messengerは、企業、アプリをコミュニケーションに持ち込むことによって、Facebook本体の広告とは異なるビジネスの現場を作り出し、それを人工知能によって加速させようとしている。
Facebookがソーシャルなつながりと偶発的な体験を重視するならば、Messengerはよりプライベートな場での必然的な体験を重視する、そんなコントラストを見出すことができる。
あらゆる個人、ビジネスやサービス、ニュース、行政などがMessengerアカウントを持ち、チャットで情報やサービスを交換する世界が、フェイスブックにとってのMessengerのゴールだ。
やや原始的なたとえかもしれないが、Messengerはあらゆる連絡先やビジネスが掲載されている電話帳みたいな存在であり、電話の代わりにメッセージをやりとりして問題を解決する世界こそ、Messengerが目指す未来なのだ。
フェイスブックは、メッセージアプリWhatsAppも傘下に収めており、主な競合はアップルのiMessage(メッセージアプリ)、日本発のLINEとなる。アップルはアプリをメッセージの中で活用する機能を取り入れており、ステッカーにも対応した。またLINEもビジネス連携を積極的に行っており、先頃、人工知能のプロジェクトについても発表したばかりだ。
ただ、いずれも、今回発表されたMessengerのプラットホーム戦略と比較すると、技術面やサービス面が断片的で、取り組みが弱いように見える。