1980年に日本に参入し、その後30年間で約100店舗まで拡大したウェンディーズ。運営会社とのフランチャイズ契約の終了に伴い、惜しまれながら1度は日本から撤退したが、創設者デイブ・トーマス氏の愛娘「Wendy」をあしらったロゴを覚えているファンも多いだろう。そのウェンディーズとのコラボで、新たな店舗展開を進めるのがファーストキッチンだ。両社によるコラボについて、ファーストキッチン社長の紫関修氏に話を聞いた。
※全3回に分けてお届けします
コラボ店のテストで手応え、合併の流れに
まず、両社がコラボを始めた経緯についておさらいしておきたい。再上陸後のウェンディーズを運営していたウェンディーズ・ジャパンとファーストキッチン(FK)は以前から面識があったが、両社で検討を重ねた結果、まずはウェンディーズファンの多い六本木でコラボ店「ファーストキッチン・ウェンディーズ」をテスト展開する流れになった。
もともとウェンディーズだった六本木の店舗を移転してコラボ店にしてみると、同店の売上は前年比160%を記録。続いてテスト展開した上野浅草口店も前年比130%と好調に推移した。協議を重ねた末、2016年5月にはFKの株式をウェンディーズ・ジャパンが取得する事で合意・契約。紫関氏は2016年9月にFKおよびウェンディーズ・ジャパンの社長に就任した。
買収劇の実態は
ファーストキッチン・ウェンディーズは、ウェンディーズの本格的なハンバーガーと、FKの強みであるポテトやパスタなどのサイドメニューが同時に楽しめる店舗だ。2017年3月30日現在で東京と神奈川に計14店舗を展開する。ちなみに、FKとして営業している店舗の数は現状で135カ所。ここで、この2つの店舗の違いについても押さえておきたい。
FKのハンバーガーは、業界のボリュームゾーンとなっている300円台が主体。例えば基幹商品のベーコンエッグバーガーは320円だ。立地は駅前、ショッピングセンター内が中心で、商品はバーガーのほかサンドウィッチ、パスタ、デザートなどを揃える。ファーストキッチン・ウェンディーズのハンバーガーは、「ウェンディーズバーガー」で490円、「イベリコベーコネーター」で750円という価格設定だ。
前に経緯を説明した買収劇は、厳しい事業運営を余儀なくされていたFKをウェンディーズが吸収し、日本進出の加速を図ったように見受けられた。だが、紫関社長の受け止めは違う。ハンバーガーという同じ商品を扱う両社の合併は異例だが、互いの強みを組み合わせれば、「面白いビジネス」(以下、かっこ内は紫関氏の発言)を展開できるというのが同氏の考えだ。