介護費用を準備するには
介護保険を利用すると、実際にかかる自己負担分はある程度抑えることができます。とはいえ、介護費用は、要介護認定の区分だけでなく、家族の状況や本人がどのような介護を望むかによっても、大きく左右されるものです。いざ介護が必要となったとき、費用を抑えるために家族の負担が重くなる、希望する形でのサービスが受けられないといった事態をできる限り避けるためにも、介護にかかるお金については、あらかじめ考えておきたいですね。
では、介護費用はいつまでに準備すればいいのでしょうか。一般的にイメージされる「老後」と、実際に介護が必要になる年齢には、少し差があると言えます。厚生労働省「平成27年度 介護給付費等実態調査」によると、介護保険のサービスを利用している人の割合は、75歳~79歳では男性9.0%、女性11.6%。80~84歳では男性17.9%、女性27.3%、85歳~89歳では男性32.5%、女性48.8%と、80代から高くなっていることがわかります。
十分に介護費用を貯蓄できていなくても、50~60代の方であれば、まだ時間はあります。投資信託など変動商品を取り入れ、積み立てるのもいいでしょう。50代以下の年代の方なら、節税効果に優れた確定拠出年金の活用がおすすめです。70代の方でも、準備はできますが、積立期間があまり長くは取れないため、定期預金など元本が確保される商品で確実に用意していきましょう。
自分や家族がいざ介護に直面すると、特にお金の面では、慌ててしまうものです。余裕のあるうちから、介護費用の準備を具体的に進めていきましょう。また、介護が必要になったとき、どのような介護を望み、家族として何ができるのか、日頃から話し合う機会を持てると良いですね。
筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。