従来型腕時計をスマート化した「ハイブリッド型」

一方、従来型の腕時計をベースにスマート機能を搭載した「ハイブリッド型」のモデルも増えてきた。普通の腕時計とは異なる「コネクテッド」モデルとして、ラインアップするブランドが多い。

日本でも人気の高い「SKAGEN」(スカーゲン)ブランドも、新たなコネクテッドモデルを出展。スマホとBluetoothで接続し、電話やメールの着信時には通知してくれる。カメラのシャッターや音楽再生をリモコンのようにコントロールできる機能も搭載する。

「SKAGEN」のコネクテッドモデル

元ソニーのスマートウォッチ開発者が立ち上げたというスウェーデンの「Kronaby」ブランドも、iPhoneやAndroidと連携するコネクテッドウォッチだ。価格帯は350~600ユーロで、2017年秋には日本上陸も計画している。

スウェーデン「Kronaby」ブランドのコネクテッドウォッチ

カシオ計算機は「時刻補正」にスマホを利用するのが面白い。これまでの標準電波やGPSに加えて、スマホ経由でインターネットのタイムサーバーに接続し、世界のどこにいても正確に時間を合わせるという。

「CASIO CONNECTED」をテーマとしたカシオ計算機ブース

スマートウォッチの弱点だったバッテリー駆動時間だが、ハイブリッド型ではボタン電池で数カ月から1年以上動作するものが多く、従来型腕時計に近い使い勝手といえる。

注目は本体サイズだ。これまでは通信機能などの搭載によるサイズアップが避けられなかったが、薄型化が進んでいる。今後は従来型腕時計と見分けがつかない薄さのコネクテッドモデルが増えそうだ。

伝統ある展示会にIT企業が進出

バーゼルワールド2017では、今後のスマートウォッチの躍進を予感させる出来事もあった。これまでスイスの伝統的なブランドが軒を並べていた展示会に、スマートフォンや家電で知られるサムスン電子が初めてブースを出展したのだ。

バーゼルワールド2017でサムスンがブース初出展

ここではスマートウォッチ「Gear S3」に機械式ムーブメントを組み込んだコンセプトを公開するなど、「サムスンのモバイル技術」と「スイスの伝統産業」の融合を強くアピールしていた。これを皮切りに、IT企業の進出が加速することになるのか注目したい。

Gear S3に機械式ムーブメントを組み合わせたコンセプト