視聴したスペインの番組バイヤーに話を聞くと、「脚本がとってもいいね。日本のドラマを初めて見たけど、感情移入しやすく、分かりやすい展開が気に入った」と言い、フランスの制作プロデューサーからは「舞台あいさつした俳優(西島)の魅力を感じた。彼のセクシーさが伝わったよ」という意見も聞かれた。
西島にドラマの魅力をあらためて聞くと、「小栗さんも同じことを話していましたが、映像化しにくい企画だと思います。東京でアクションものを撮影するのは本当に大変だからです。だから、『やりましょう』と手を挙げたカンテレさんの情熱と魅力ある作品を作っていこうという野心に拍手を送りたいです」と話す。
見どころのひとつであるアクションシーンのために、小栗と西島は1年前から準備を進めてきた。金城氏の監修により「カリ・シラット」と言われる武術を訓練し、アクションシーンではワンカットも早回しがないという。西島は「カリ・シラットはハリウッドでも取り入れられています。日本では金城さんが脚本を書かれている作品『SP』でも、岡田准一さんが使われていますね。海外の方に日本にもこんな面白いアクションエンタテイメント作品があるということを知ってもらい、アクションシーンを楽しんで見ていただけるとうれしいです」と、説明してくれた。
また評価を受けていたストーリーについても詳細を語ってくれた。「規格外の作品だと思います。撮り切ることができるのか、内心ハラハラしていたほどです。ロケ先にとしまえん(東京・練馬区)が使われることもありました。さらに驚かされたのは、金城さんの脚本の緻密さです。としまえんで男の子がトイレに行った後、座るベンチへの歩数まで計算して書かれているのです。それをできるだけ具現化できるように撮影されているので、リアリティがあるのだと思います。その辺りも世界でも共感できる点になっていると思います。日本ならではの風景や、特に現代の日本の空気感も濃厚に映し出されているので、誇りを持って世界の方々にも見ていただきたい作品です」
最後に西島は日本のドラマに対する思いも寄せた。「カンテレさんをはじめ、日本全体でこうした良作を作り続けていっていただけたら、出演する立場としてもとてもありがたいことです。今回のように、世界にもアピールすることができれば、日本のドラマ全体に対する評価が変わるかもしれません。世界各国から興味を持たれる度合いが高まっていくのではないかと信じています」
スクリーニング以降、アジアのみならずヨーロッパ、北米の地域から幅広く問い合わせがあり、カンヌの会場で商談が続いたという。成立するかどうかは、これまでのケースをみると、国内での評判も大きい。日本での放送はあす11日から始まるが、カンヌで一足先に勢いに乗ったドラマ『CRISIS』の今後の動向に注目だ。