この後の流れは、まず債権者集会を開催し、債権者に財務状況や再建方針などを説明。その後、再建計画案を策定し、債権者による投票を経て、債権者の法定多数の賛成と裁判所の認可を得られれば、再建計画が成立し、これに従って履行することとなる。
一般に倒産状況の企業が自力で再建するのは容易でないことから、スポンサーによる支援の下で再建を図ろうとすることがある。また、企業価値をできる限り毀損させないためにも、なるべく手続を早く終わらせたい。そのため、チャプター11を申請する前に、再建計画案を策定し、債権者の法定多数の賛成を得ておいた上で申立を行うケースもある。これをプレ・パッケージ型という。この場合、申立から数カ月で手続が完了し、結果として手続費用や事業価値の毀損を抑制することが可能となる。ゼネラルモーターズもこのケースと言われている。
再建にむけたハードル
ウェスチングハウス社においては、自らが策定した再建計画案に対して債権者の法定多数の賛成を得られなければ、破産手続に移行することとなる。現時点では、自力による再建を図るのか、スポンサーによる再建を図るのかも明らかでなく、債権者の理解を得られる再建計画案を策定することができるのかが、大きな課題なのだという。
東芝の経営への影響
先に述べたとおり、東芝は今回のチャプター11の申請によって、ウェスチングハウス社が通期の連結決算から外れたと発表している。これは、企業会計基準上、倒産手続の開始決定を受けた企業で、有効な支配従属関係が存在しないと認められる企業については連結財務諸表における子会社に該当しないとされていることに基づく。
東芝の発表によれば、同社の最終損益は、最大でも1兆100億円の赤字だという。電力会社とも今後の事業継続に向けて話し合いをしている最中で、基本的に関係は良好であることが説明されている。しかしながら、東芝が電力会社に提供している親会社保証が顕在化したり、電力会社から損害賠償を請求されたりするようなことがあれば、さらに損失が膨らむ可能性がある。このように、未だに影響額が確定していないことから、今後の動向を引き続き注視していく必要がある。