LINEの強みは、「LINE」そのもの

スマートスピーカー、音声アシスタントデバイスの現状は、キラーアプリがまだ見つかっていない、という一言に尽きる。前述のように、スマートホームすら、このカテゴリのデバイスにとって、キラーアプリになっていないのだ。

そのため、LINEが取り組む点は、非常に興味深く、可能性を感じることができる。会話がキラーアプリになる可能性があるからだ。

LINEは、アマゾンやグーグル、アップルと異なり、メッセージアプリとして発展してきた企業だ。つまりコアとなる事業は、メッセージング、会話なのだ。

膨大な会話が交わされているプラットホームには、人々の生活やコミュニケーションに関わる情報が凝縮されており、これらのデータを飲み込んで人工知能が学習を進めていく。人工知能の育ち方として、人々の会話に強い存在へとなっていくことが期待できる。

すでにMessage APIが用意され、ボットと呼ばれる自動的に会話を成立させるメッセンジャー上のロボットを開発することができるようになっている。Clovaの学習とボットの組み合わせは、ただ話しかけても楽しい、そんなスマートスピーカーが成立する可能性を秘めているのだ。

加えてLINEは、ディスプレイを搭載するデバイス「FACE」を用意している。音声だけでなく、人々の五感を通じた人工知能へと発展させていく計画だ。

人々の感情は、体験を重視するビジネスの時代にとって、貴重なデータとなる。アドビのデジタルマーケティングイベント、Adobe Summitでも、「人々の感情が、顧客体験ビジネスの通貨となる」とのメッセージを送っており、五感から感情を感じ取る人工知能は、ビジネスの分野においても、貴重なデータとなるはずだ。